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魔法少女リリカルなのは平凡な日常を望む転生者 STS編

作者:blueocean
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第56話 ゆりかご攻略戦

「エローシュ君………」

エローシュの様子を見て、真白が小さく呟いた。
エローシュはユーノが上層部の会議に出た後もずっとゆりかごについて、エンジェルソングについて調べていた。もう少し休憩を入れてから3時間。30分すら厳しかった頃を考えるととても信じられない程だった。
しかし、実際は既に限界を超えている状態で気力で保っていた。故に何時倒れてもおかしく無い状況である。それを懸命に支えているのが彼の相棒のエクス。2人の信頼があってこそここまで出来ていた。

「彼を信じよう………私達は私達の出来ることを………」
「うん、お父さん………」









『………違う』
『エローシュ、少し休もう。そろそろ体がもたなくなる。1度休憩を入れて………』
『もう少し、もう少しで見つかりそうなんだ………』

時の記憶の中、埋まってしないそうな膨大な情報を手を動かしながら話すエローシュにエクスはため息を吐いた。
始めてから3時間経った今でも1度も手を止めていない。

(これがこいつの本気なんだろうな………)


そう思いながら数日前にエローシュと話した事を思い出していた………











「ふう………」

機動六課の領の自室、エローシュは深く息を吐いた。

「………お前の考えたプランか」
「ああ。………これでゆりかごの外での戦闘配置は問題無いと思う。戦えるメンバーで組んだ最高の布陣だよ。これで予測以上の数が来られちゃこっちが持たない」
「今の戦力で可能な戦闘継続時間は3時間が限界か………」
「機動六課やベーオウルブズのメンバーはそれ以上も可能だろうけど、それ以上戦いが続くと戦線を保てなくなる。それにそれまでにゆりかごが上空に上がり続けたらもう手の施しようがなくなる」
「エース様の集束完了時間は?」
「敵の妨害も考えて2時間って所かな。………ハッキリ言えば中々ギリギリな時間帯だ。突入組は2時間の内にヴィヴィオちゃんを助け出し、駆動炉を機能停止にしてくれれば更に大悟さんの攻撃が通りやすいと思うんだけど………」
「全ては突入部隊の力量次第か………」

そう言ってエクスは唸った。

「それとお前もいい加減戻れよ。いつゆりかごが起動するか分からないんだぞ?」
「………その前に一つ確認したい事がある」
「何だよ改まって………」

真面目な顔でそう問いかけるエクスを不思議に思いながらエクスと向かい合う。

「お前は一体何者なんだ?その年齢で桁外れた思考、そして処理能力。前までのお前はふざけた態度が長かったからそこまで気にはならなかったが、時の記憶を長時間使い始めた辺りが疑問に思っていた。確かに脳の酷使によって出血していたりしていたが、前までのお前は限界が来る直前で止めていた。疲労した様子から俺はてっきりそこまでが限界だと思っていたが実際は違っていた。手を抜いていたんだな?」
「………」

その問いにエローシュは何も答えず相槌も無かった。

「恐らく周りから自分の能力を悟られたくなかったのだろうが、流石にこの状況だ。………他の皆はあまり疑問に思っていなかっただろうが、レアスキルを持っている俺に言わせてみれば明らかに異常だ。だからこの際聞いた。お前は一体何者なのだと………そしてお前は俺にもまだ話していない事があるんじゃないのか?」
「……………」

エローシュは再び何も答えない。

「パートナーである俺にも言えない事なのか………?」
「………はぁ。そうだな、まあこうなる事は予感していたんだ、今更隠し通せるわけがないか………」

そう言ってエローシュはため息を吐いた。

「そうだな、どこから話せばいいか………俺は転生者なんだ」
「転生者………?」
「輪廻転生。………命は消えれば新たなものに宿る。それはサイクルの様にグルグルと。そしてその中で俺は以前に生きていた人間の記憶、能力を持っていた。………と言っても能力言って良いのか怪しいところだけど………」
「能力?」
「先ずは記憶にある知識。これでも小学生で博士号を取った天才児なんだぜ俺。それと能力………は、タイピングの速さ位だけどまあそう言った以前に生きた時に持っていた経験も培っていたんだ」
「そんな事が………」
「まあそれでも人並みに生きていて、世界の有名な大学を出て、それで仕事に付いて………まあ充実した人生だったろうな。だけどさ………」
「だけど?」
「何か物足りなくてさ、ふと過去を振り返れば勉強ばかりの日々。そんな事無いと思って振り返っても
それしか思い出せなかったんだ。………でさ、ある日思ったんだ。『平凡だけど楽しい毎日が送りたかったな………』って。………それで気が付いたら俺、死んで何か腰の低そうな神様の前だった。………って話聞いてるかエクス?」

そう言って目の前で手を振るが反応が無い。

「情けない、ショートしたか………」

呆れながらそう呟くエローシュ。

「………そんな話信じられるか!!!!」

その後に出た言葉はエクスには珍しい大きな怒鳴り声だった………

















「………まあ確かに子供には到底思えない思考や、もっと幼い時からエロ本に興味があったりと今思い返せば怪しい部分は多々あったな………」

怒鳴った事で落ち着いたエクスは一旦改めて思い返してみると確かに不自然な事が多々あったことに気が付いた。

「だろ?子供だと女湯に入っても特に何も言われなかったからな。………だけど心も少年で思春期に入ってもなかったらから欲情する事も無く、後々に思い出せるように脳に焼き付かせるしかなかったのが残念だったが………」
「変態だな………」
「後は偶然を装って色々と触れた感触を………」
「ヤメロ!!!!」

それ以上はエクスが言わせなかった。

「分かった、確かに思考が犯罪レベルの変態だ。………全く、とんだ相手をマスターにしてしまったな本当に………」
「俺にあった不幸を呪いな………」
「決め台詞みたいにかっこつけるな!!」

エクスの鋭いツッコミにもエローシュは笑いながら流していた。

「全く、お前は………」
「………さて、休憩もこれくらいにしていつ動き出すが分からないがギリギリまでエンジェルソングについて探してみよう」
「………そうだな」

しかしその結果、記録を見つけられたものの、疲労困ぱいですぐに動き出せず、突入組と合流するのが遅くなってしまうのだった………














(転生者か………未だに信じられんが………)

しかし実際にエローシュの行動を見ているとそうなのではないかと思えてくる。

(本当に面白い奴だよお前は………)

そんな事を考えながらエローシュの様子を伺っていると、突然エローシュの動きが止まった。

『ヤバイ、流石にもう………』

慌ててエローシュに駆け寄り、倒れそうになったのを支えた。

『エローシュ、休憩だ。少し休め………』
『悪い……気が抜けた………だが、見つけたぞ………』

そして1つのデータを目の前に持ってくる。

『これは………』
『エンジェルソングについて………だ………』
『エローシュ………お前は………』
『もう無理………柄じゃ無いことするもんじゃ…無いな………後よろしく………』
『おい、エロー………』

そこでユニゾンは強制的に切られてしまった………










「エローシュ!!」
「えっ!?」

いきなりユニゾンが切れ、驚いていた真白を尻目にエクスがすかさずエローシュに駆け寄った。

「エ、エローシュ君!?」

状況がうまく飲み込めていない真白だが、非常事態なのは分かった。

「大丈夫!?………あれ?」
「くくく、はははは!!全くお前は凄いマスターだよ!!」

大笑いしながらそう言うエクスの姿に真白は呆気に取られた。こんな風に笑う姿を1度も見たことが無かったからだ。

「エクス君………?」
「真白、直ぐに八神はやてと連絡を………!?」

しかし遅かった。後1日早ければ対策を取れ、ここまで追い込まれることは無かっただろう。

「ゆりかごが起動した………!?」

眠る前に感じた感覚を思い出し、エクスは冷や汗をかいた………













「遂に動いたんやな………」
「はい、ミッドチルダ東部、山中の地中から浮かび上がってきたと報告が来ています」
「地中から………しかも山中となれば短い時間じゃ流石に見つけられへんかったか………」

グリフィスの報告を受け、悔しそうにそう呟いた。

「部隊の全員準備が整いました。ベーオウルブズも準備出来ています」

報告を聞きながらはやても支度を始める。

「皆、覚悟は出来ているみたいやな。………神崎君と加奈ちゃんは?」
「本部の武装隊の方へ出ていましたがあちらの部隊と共に向かうとの事です」
「了解や。………グリフィス君、バックアップ頼むで」
「任せてください。それよりも隊長達こそご無事で………」
「そやな。全部終わったらレジアスのおっちゃんも呼んで宴会や!!」
「えっ!?」
「ほな、行ってくるな」

そう言い残してはやては部屋を後にしたのだった………










「皆は?」

ヘリポートに行くと既に準備は終わっており、シグナムがヘリの前ではやてを待っていた。

「既に作戦通り各班に分かれています。突入組と迎撃部隊空担当の我々、そして地上担当のスターズ、ライトニングチームと加藤桐谷を除いたベーオウルブズのメンバーです」
「そうか………」

シグナムの説明を聞きながらはやては、数日前に行った作戦会議を思い出していた………










「少人数でゆりかごに突入する!?」

ユーノによって持たされた情報を元に、はやてが決めた作戦を説明した。
それに真っ先に声を上げたのがティアナだった。

「そや。中で動力源、そして鍵として扱われているであろうヴィヴィオちゃんを救い出す。その後、大悟君のジルディスの一撃でゆりかごを落とす」

既に六課のメンバーにはゆりかごの決戦において六課を中心として戦闘するとはやてから伝えられていた。実際に前線に出るメンバーもロングアーチのメンバーも全員それぞれ各自に準備をして来た。
だからこそティアナは納得出来なかった。少人数………その中に自分の名前が無いことを感じ取ったからだ。

「でも突入するのに何も少人数で行かなくても………」
「それじゃあ困るんや。………突入している間も相手のブラックサレナによる攻撃が予想される以上、誰かがその場で引き付け役をやならくちゃいかんのよ。今回の作戦の要の大悟君、大悟君はギリギリまで魔力を集束しなくちゃあかんから戦闘も出来ん。加奈ちゃんが守りに徹するけど、どう動くか分からへんから」
「そうですけど………」
「それに出現場所が定まっていない以上、相手がどこから現れる、もしくは移動するか分からへん。もし街中で戦闘にでもなれば民間人が大パニックや。その地上でも守護も入ってるんや」

そう丁寧に説明するはやてにそれ以上何も言えなかった。ティアナ自身分かっていた事でもあったからだ。

「それでも私も………」

小さく呟いたがそれからの先の言葉は飲み込んだ。

「それで突入組やけど、なのはちゃん、ヴィータ、バルトさん、それに後に合流予定のエローシュに真白ちゃんや」
「えっ!?エローシュ君に真白ちゃんも!?」
「そうや」
「何でエローシュも突入するんですか?あのバカは戦闘能力は皆無ですよ?」
「そうです、危険ですよ!!」

そう不満そうに質問するルーテシアとエリオ。

「分かっとる。せやけど零治君を救出するのにどうしてもエローシュ君の力が必要なんよ。そしてその守りに真白が付く。真白なら空中でも移動できるし、魔法もなのはちゃんに近いから守りも固い」
「お兄ちゃんを………」
「それにそのメンバーに有栖家のみんなを行く。戦力的には過剰なくらいや」

「みんなが………私はまた…………」

そう呟いて小さく震えながら拳を握りしめるキャロ。

「キャロ………」
「ごめんなキャロ………気持ちは分かるんやけど、空戦が出来る魔導師も限られている中、キャロのフリード達の力は欠かせないんや。それに………」
「分かってます、私の能力は狭い場所には向きませんから……………でも、だからこそ悔しいんです。強くなるために機動六課に入ったのに、結局大事な所で力になれないんですから………」

そう言って唇を噛みしめるキャロ。

「キャロ………」
「それは違うよ。キャロ」

はやてが口を開く前にそう答えたのはフェイトだった。

「キャロは零治やあなたの家族が帰る道を作るの。助けた後も敵が一杯じゃ危険だからね」
「帰る道を作る………?」
「そう。それも立派な家族を守る姿だと思うよ」

フェイトにそう言われ、暫く考えるキャロだったが、覚悟を決めた顔でしっかり頷いた。

「キャロ、私も協力するわよ」
「僕もレイ兄の帰る道を作るよ」
「ルーちゃん、エリオ君………ありがとう」

本当に嬉しそうに笑いながらそう言うキャロ。その笑顔は零治が消えた後、初めて見せた笑顔でもあった。

(大丈夫そうやな………)

はやてはそう感じながらも話を進めた。

「それと今回のゆりかご攻略に機動七課のベーオウルブズも協力してもらう事になったで」
「ベーオウルブズ!?」
「桐谷さんの部隊!?」

「そうだ。スバル、ギンガ」

そう言って部屋に入ったのは桐谷が連れた機動七課のメンバーだった。

「見知っている顔も多いが、自己紹介させてもらう。機動七課ベーオウルブズ隊長加藤桐谷やよろしく頼む」
「桐谷君はなのはちゃん達と一緒に突入組に入ってもらう予定や」
「えっ?でもそれじゃあベーオウルブズも突入組ですか?」
「いいえ、我々はスターズ、ライトニングの混合部隊と共に外の………陸の敵を担当し戦います」

スバルの質問に答えたのは桐谷では無く別の男だった。

「初めまして、ボウカー・カウフマンと言います。今回ベーオウルブズの指揮は私が取らせていただきます。なので指揮官の方とは事前に話し合いをしたいのですが………」
「あっ、それならティアナと話してな。スターズとライトニングはティアナに任せる予定やから」
「わ、私ですか!?」
「エローシュは突入組に入って、空は私が指揮する。陸もどちらかに任せた方が良い気もするんやけど、碌に連携もとったことのない部隊で無理に連携取ろうとしても混乱するだけや。せやったら互いに連絡を取り合った方がええと思ってな。どうやろか?」
「それで良いです」

はやての提案にボウカーは考える間も無く即答した。

「………分かりました、よろしくお願いしますボウカーさん」
「ああ、よろしく頼む」

ティアナも少々悩んだが、それでも覚悟を決めて答えた。

「それじゃあ後は残りの七課のメンバー紹介やな」
「初めまして!!機動七課ウルフ2リーガル・ジェストっす!!管理局のアイドルである皆さんと仕事が出来て光栄であります!!それで後でサインを………痛っ!?」
「何バカなこと言ってるのよ!!!うちのバカが済みませんでした!!ウルフ3リーネ・マクリティですよろしくお願いします」

そう言いながらリーガルの頭を叩くリーネ。

「何だろう………あの残念な感じに親近感を感じるんだけど………」
「奇遇ね、私もよエリオ………」

そう話しながらエリオとルーテシアは思い当たる人物を思い浮かべ互いにため息を吐いた。

「私はフィーネ・マクリティです〜リーネちゃんのお姉さんでウルフ4主に後方射撃を行います〜」
「お姉ちゃん、口調口調!!」
「………あ〜ごめんなさい〜」
「もういいわよ………」

そう言ってリーネは疲れた顔で深くため息を吐いたのだった………





































「あれがゆりかご………」

現場に着いたはやてはその大きさに驚愕する。エローシュと無限書庫の報告で大体の大きさは把握していたが実際に対してみるとその大きさに思わず圧巻してしまったのだ。

『………はやて、各自、準備できたよ』

フェイトの念話が届き、はやては首を振って集中し直す。

「各自所定の位置で待機、突入組が動き始めたら戦闘開始や!!シグナム班はゆりかごの敵の迎撃、フェイト班は突入組の援護!!そしてはやて班はエース・オブ・エースの援護や!!地上組は後方の援護と地上から攻撃しようとする敵の撃破や!!」

既に大悟は魔力の集束に入っていた。最初こそスムーズにいくのだが、だんだん集束が進んでいくと、その魔力を暴発させずに束ね続けるのに時間がかかる。だからこそ、集中し続けられるように大悟を守らなくてはならない。

(そしてその暴発が始まればその周辺100m以上はSSSランクの魔力に飲まれる事になる………加奈ちゃんがもしもの時は被害が広がらないようにしてくれると思うんやけど、それでも近くで守っている私達はただではすまへんやろな………)

はやての部隊の志願兵の魔導師達、そのほとんどが大悟がいた武装隊の隊員だった。その数30。相手の数は少なくとも100以上を超え、その数倍だと予想されているなか、進んではやての部隊に入ってくれていた。

「大悟、隊長は本部指示、で本局の防衛に回されてこれねえが、俺達が変わりにしっかり守ってやるから」
「だからあなたは魔力の集束だけに集中してなさい。加奈もちゃんと大悟の事見てるのよ?」
「はい、分かってます」
「先輩達、よろしくお願いします!!」

大悟の言葉に深く頷いて自分の位置へと戻る隊員達。

(人数は少ないけど実力は管理局でも上位の部隊………なんて頼もしいんや………回してくれた大悟の部隊長に感謝やな)

他の班も彼の働きによって集められた武装隊のメンバーが殆どであった。
そんな気遣いをしてくれた大悟の部隊長に心から感謝しつつ、他の部隊の状況を確認する。

「地上部隊はどうや?」
『私達は配置OKです』
『ベーオウルブズも完了した』
「了解や。………エローシュのアホはまだ来とらんみたいやな………仕方があらへん、もうのんびり見ている暇もないんや………」

そう呟いて一呼吸置く。
そして………

「ゆりかご攻略戦、開始!!!!」

各部隊に聞こえるように念話と共に伝えられ、戦いが始まった………






















「よし、行くぞ!!」

作戦の最初の段階として必須とされているのが突入組の潜入。先ずこれが出来なければ何も始まらない。

「敵、全面に展開、ゆりかごからの砲撃も開始されました!!」

フェイトの部隊にいるフリードに乗ったキャロから皆に伝えられる。
何も無い空間から現れるブラックサレナ、そして更に突撃に特化された戦闘機に近い巨大なバリアアーマーも現れた。

「別のタイプのブラックサレナ!?」
「どっかで見た奴だな。確かバリアフィールドを張って突撃してくる奴だ」

そうバルトが思い出しながらバルバドスを構える。
しかし攻撃を始める前、ゆりかごから大量の機械人形らしきものが大量に出てきた。

「これは………ガジェットです!!その数およそ500以上!!まだ増えています!!」
「500!?」

この数は想定外であった。確かに防衛機能としてガジェットがあるとは調べで分かっていたが、これほどの数があるとは想定していなかったのである。

「ブラックサレナ、2タイプはそれぞれ50以上!!更にミッドチルダの各都市で転移反応があり、そちらにもブラックサレナが現れたそうです!!その対応に管理局、聖王教会も手一杯で、援軍は………」
「まあそれは想定内だ。どちらにしても俺達と大悟次第で結果が分かるのは想定していた範囲内だ」

キャロの慌てた報告に桐谷は淡々と言い切った。

「それに手強い味方はこれからくる」

そう言った後、桐谷達の前方に現れたブラックサレナ、ガジェットの部隊に各色混ざった巨大な砲撃が飲み込む。

「これは………!!」

フェイトの部隊に所属した空戦魔導師が驚愕している中、そこに4人の魔導師が現れた。

「お待たせしました」

そう言って現れたのは星、ライ、夜美、優理の4人だった。

「お姉ちゃん!!優理!!」
「キャロ………」

未だに仲直りが終えていないキャロに顔をしかめる4人だが、キャロは違っていた。

「私がお姉ちゃん達の道を作るから………お兄ちゃんを連れて帰ってきてね!!」
「キャロ………!!」
「うん、任せて!!」
「我等が必ず連れて帰る!!」
「だからキャロ、私達の道をよろしく!!」

キャロの言葉に力強く答える4人。
その4人の言葉を聞いてキャロは笑みを溢した。

「うん!!!だから………その道は私が作る!!!!天地貫く業火の咆哮、遥けき大地の永遠の護り手、我が元に来よ、黒き炎の大地の守護者。竜騎招来、天地轟鳴、来て!!ヴォルテール!!!!」

長い詠唱から最後の気持ちの籠った呼び声により巨大な魔法陣が現れ、その中から這い上がってく様に巨大な竜が姿を現した。

「うそ………フリードも召喚してるのにヴォルテールも………!?」
「私の成長した姿、見せてあげます!!ヴォルテールお願い!!」

そのキャロの言葉に合わせて口に魔力を集束させていくヴォルテール。
そしてその魔力を群がるブラックサレナ、ガジェット群に向けた。

「行けええええ!!!」

キャロの大きな声と共にヴォルテールの咆哮、ギオ・エルガが放たれた。
その巨大な砲撃は群がるガジェット群を焼き払い、消滅させていく。

「凄い………」

そう呟く武装隊の局員。

「成長しましたねキャロ………」

キャロの成長を嬉しく思いながらも星達は前を向く。

「いい攻撃だな………それじゃあ………行くぜ!!!」

キャロの放った砲撃に合わせ、バルトの掛け声と共に、突入組も行動を開始した………























「うわっ………凄い威力………!!」
「誰の攻撃!?」

ゆりかごに向かうヘリの中、突然起きた巨大な砲撃を見て、ユーノと真白は呟いた。

「恐らくキャロのヴォルテールだろ………全く、気弱な顔してもの凄い攻撃をするよな………」

と横になりながら呟くエローシュ。

「エローシュ君、大丈夫かい?」
「ええ。ここに来るまでで充分休めました、後はエクスもいるし大丈夫です。………それよりもユーノさんこそ、無限書庫の方は………」
「あっちもちゃんと魔導師がいるし大丈夫だよ。それに元凶をどうにかしないと解決しないしね。………エローシュ君、真白ちゃん、済まないけどこの世界を頼んだよ」
「はい、任せてください」
「が、頑張ります!!」

そう言ってエローシュは立ち上がり、ヘリのドアを開ける。

「エローシュ君………」
「俺よりもはやて隊長達だ。………エンジェルソングが発動したらゆりかごを止める所じゃなくなる………早く対策を………」
「先ずははやて隊長の所だね………」
「ごめん真白ちゃん、俺は戦えないから足を引っ張るけど………」
「ううん、私嬉しいよ。今まで助けられてばっかりだったエローシュ君を今度は私が助けられるんだって思うと」
「真白ちゃん………」

頼もしくなった真白の背中を見て、思わず笑みがこぼれるエローシュ。

『さっさと行くぞ』
「あ、ああ!!じゃあ急ごう!!」

そしてエローシュ達も戦場へと向かう………























「さて、戦闘が始まったね。ホムラ君、もう起動出来るのかな?」

ディスプレイで外の戦闘の映像を見ながらクレインが呟いた。

「聖王器の使い手が4人。………あの桐谷って子がまさか最後の聖王器を持っていたなんてね。あの聖王器、様々な武器に変わるから見分けが付かないんだけど運が良かったわ。これでエンジェルソングの起動条件がそろった………」
「それにしても不思議だね、まさか5つの聖王器がエンジェルソングの起動キーだなんて………」
「本当は使用者の意志揃わないと起動しない様になっているんだけど、私が改ざんした影響で聖王器が揃っていれば私のパスコードで起動できるのよ。それで一番の懸念は残りの聖王器だったけどやっぱり律儀に持って来てくれたわね」

そう言って嬉しそうに侵入した桐谷の映像を見た。

「名前は何て言うんだい?」
「グラントの使う双剣………と言ってもその状況によって色々と変わるから一概に双剣と言えないんだけど、聖王器ブランバルジェ。それが名前よ」
「ほう………それで今は彼のデバイスとして動いているわけだね」
「グラントの聖王器は戦争で私が壊して封印したはずなんだけどね………誰かが他のデバイスを使って直したみたい。だからブランバルジェと言う聖王器はもう無いわ。けれど彼の持つデバイスには同等の力を感じる。起動のキーとしては問題無いわ」
「そうかい、それは安心した!!」

そう言って嬉しそうに笑うクレイン。

「神崎大悟、佐藤加奈。残念ながら最早手遅れだよ。後はゆっくりと夢の中で幸せになってくれ。それでは、エンジェルソング………起動!!」

クレインは大悟と加奈の映像を見ながらそう言い、零治はそのままエンジェルソングを発動させた………













「「!?」」
「バルトさん?」
「桐谷もどうしたんです?」

ゆりかごに潜入したと同時に何かを感じた2人はその場で止まった。


「桐谷、お前も感じたのか?」
「バルトさんも………?」
「クレインの奴、何かしてきたのか………?」











「状況は!!」
「善戦しています。あの竜の咆哮でこちらの指揮も格段に上がった影響でしょう」
「突入組は!?」
「たった今、突入しました!!」

その報告を聞き、はやては小さく息を吐く。

「今の所予定通りやな。………後はこのまま上手くいってくれればいいんやけど………ん?あれは何や?」

ゆりかごの装甲に拡声器の様な物が現れた。

「一体何をするつもりや………?」

そう呟きながら警戒しているといきなり歌が流れ始める。

「なんやこれ……………あれ………?」

優しく心を包み込むような綺麗な歌にはやては力が抜けていく。

『あれ?何か懐かしい………私、こんな歌知らない筈です………』

ユニゾンしていたリインもその歌に混乱していた。

「!?みんな!!どうしたんや………?」

近くの局員を見ると、皆、無気力の様な顔でただ空を佇んでいた。まるで心が無いただの人形の様に………

「あれ………何か私も眠く………」

重くなる瞼に耐えきれず、目を瞑ろうとしたその瞬間………

「ブースト!!」

いきなり電流が走ったようなビリビリとした感覚が体を通った。

「あれ?私は今………」
「間に合ったか………」

そう言って横に現れたのはエローシュだった。

「取り敢えず俺の知ってるメンバー、それと情報を集めていたベーオウルブズのメンバーにはエンジェルソング対策のブーストを掛けられたが………」
「エローシュ、何を言ってるんや?それよりも何時戦場に………」
「そんな事後回しだはやてさん、今すぐ戦力を大悟さんを守るように固めないと………」
「だから何を言ってるんや!!」
「後で説明します!!今戦えるのは機動六課のメンバーとベーオウルブズのメンバーだけなんです!!このまま分散していたら全滅しますよ!!」
「!?」

その言葉を聞き、はやては周囲を見た。今まで戦っていたメンバーはその場を佇んでおり、魂の抜けた抜け殻の様な状態。

(敵の攻撃………!?ちゃう、そんな攻撃無かった。………せやったらあの歌やな!!)

『起きている皆!!相手の歌の影響で戦力が急激に落ちとる!!急いで大悟君の所に集まってや!!地上の部隊も大悟君の近くに急いで!!』

大慌てで念話を送るはやて。

「サンライトバスター!!」

攻撃の手が少なくなり、大悟の元へ敵が集まってくる。

「何が起きたのよ!!フェアリー!!」

大悟の近くで守っていた加奈も慌ててフェアリーを追加召喚し、防御の手を増やす。

「不味いな………」

思わず呟くほど、状況は悪かった。もはや戦闘出来るものは機動六課とベーオウルブズ。それもブーストのお蔭である。それも無限では無く、エローシュとエクスの魔力次第であった。

「早く、来てくれみんな………!!」

エローシュは真白に守られながら焦っていたのだった……… 
 

 
後書き
こんにちはblueoceanです。


遂に…と言うかやっと最終決戦。年末までには終わりたい………
このまま突っ走っていくので最後までお付き合いお願いします!! 
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