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『自分:第1章』

作者:零那
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『初日終了/翌日』

日給2万貰った。
オニギリ欲しい。
胃がビールまみれ。
ちゃぷちゃぷいよる。

秋が待ってくれてる。
一緒にコンビニ行った。
明日の朝のオニギリも買った。

お釣りの小銭だけ財布に。
残り19,000円は封筒に戻して秋に渡した。
助けて貰う義理やか無い。
長時間飲み続けて居てくれた。
されっぱなしは苦しい。
素直に受け取りはせなんだ。
やから『次は1セットで良いからまた飲ませて♪』って言って渡した。


寮迄一緒にふざけながら歩いて帰った。
此処、ほんま不気味。


ユウにメールした。
プロの子に助けて貰った。
知り合いにも助けて貰った。
お客さんにも恵まれた。
楽しく過ごせれた。
安心してって。


朝起きたら返信あった。
なら良かったって。

本心じゃないのは解ってる。
でも、だからって何が出来るわけでもない。
お互いに子供。
無力、非力、チカラなんか無い。
携帯も止まる。
いつやろう。


ユウに頼んだ。
一人暮らししてたあの家の郵便物に、auの請求書あったら金額教えてって。

到底払える額では無かった。

MJは携帯料金が会社持ちって言ってたくせに、払うことは一切無かった。

払わずに飛ばすしかない。


なんか、色々考えてたら、おなかすいた。
オニギリ食べて風呂入った。
居心地悪いから出た。

街フラフラしてたらAVキャッチに引っかかった。
なんとなく話を聞いてみた。
契約金2千万くれるって。
普通がどれくらいか知らんけどカルチャーショック。
桁ちゃうし。
思わず、撮影したら貰えるんか聞いた。
『勿論!相手は複数、レィプもの!』
勘弁して...

100万とかで良いけんスグ稼げる方法無いかな。
グラビアなら稼げるで!
紹介したろ!
雑誌だして売れたらスグやわ!
関西からスカウトに地方廻ってるらしい。

いっそ大阪に飛ぶか...
一瞬でも本気で考えた。
今と違って細かったし。
でも裸体晒すのは勘弁。
ソレしたら間違いなく破滅。
風俗で働くのと、世間に出るのとでは違いがあり過ぎる。

友達関係も全部切る覚悟は無い。
何より生い立ちとか話題性ありまくりやし。
そっちで稼げそうで笑える。


暫く街を彷徨ってたら美味しそうなパン屋さん発見。
オニギリ食べたし。
でも美味しそう。
出勤前に食べるの買っとこ!

パンのくせにオシャレ。
てか外の世界にあんまり触れてないから、世間知らずなだけなんやけど...
迷ったあげく、冒険できず無難にチョコチップメロンパンにした。


暫く探検した。
店長に店何時にあいてるか聞いた。
居るって言うから早めに行って良いか聞いた。
いつでもおいでって言うてくれた。

帰って風呂入ってパン食べた。
携帯の充電器も鞄に入れた。


風俗街...
人はいっぱい。
店に入る手前でキャッチ。
『時給良い仕事せん?』
と、同時に店長出てきた。
店長がキャッチに言う。
『うちの子ひっかけんといてなぁ~』
零那の肩に手を置いて、体の向きを変えられた。
くるっと反対向きになった。
よろけて店長の腕に助けられた。
そのまま車に乗った。


『連絡あってからなかなか来んかったから気になって。何もなくて良かった。治安良くないからなぁ此処らは...美香に「チャント優チャンのことフォローしたげてよっ!」って言われてるしな。』

『すみません、あの部屋チョット居心地悪くて街フラフラしてました。』

『何もなかったんか?』

『関西のAVキャッチに遭って一瞬揺らぎました!』
笑いながら言った。

『なんぼやってん?』

『2千万!』

『そりゃ揺らぐわなぁ!』
店長も笑いながら言う。

『100万くらいでえんやけどね。携帯の滞納払わな止まる。あとは家借りなあかん。家が出来たら居場所も出来る...』

『帰る家無いんか?』

『親の立場放棄した人間の元には帰れん。』

『淋しいなぁ...』

『慣れてます。』

ガソリンスタンド。
減ってないガソリンを足してた。

『行きたい所無いか?時間あるぞ!』

『いえ!気ぃ遣わんで下さい!店長そんな店の子に優しくして大変でしょ?疲れますよ!』

『いやいや、こんな風に接することは滅多にないよ!』

『そんなもん?』

『そぉやぁ~、淋しいもんやで~...』

『あははははは』

『チョットそこ寄るから待っててな!』

いっぱい買ってきた。
弁当と惣菜。
みんな待ちよんかな?
掃除とかボーイがやってるみたいやし。

『掃除とか終わってるんですか?』

『終わる頃やなぁ!』

『みんな何時頃に来てるんですか?』

『5時には居るなぁ~。厳しくはして無いんやけど、みんな淋しいんやな!』

『だったら早く帰らな泣きよるかもしれんねぇ!』

『ははははは!
帰ってやろぉかな!』


ボーイ達お待ちかね。
『店長、おかえりなさい!優チャン、おはよぉございます!』
なんか変な感じ...
『おはよぉございます...』

店長が、いっぱいあるからつまんで、コッチおいでって。
凄く優しくて涙でそうになった。

せや、気になる事あったんやった!


『店長!昨日普通に生飲んでたんやけど...OKなん?』

『あ~...良くはないけど...何処もおんなしや!でも、酔い方には注意してな。
トラブルならん様に、ムリヤリってのもならん様に。その為にボーイが見回りしよんやけど...』

『なるほど、わかりました!』

だいたい普通は客もそんな飲まんらしい。
触りに来るのがメインの店やもんな...
飲み屋ちゃうし。
昨日の売上は、ごくごく稀なパターンだったらしい。
ほんまに恵まれてた。

今日は美香さん休み。
女の子達が出勤してきた。
特に話すことは無かった。
お客さん入店。

『No.3優チャ~ン、No.3優チャ~ン、5番テーブルお願いしまぁ~す♪』

昨日は客も少なくて、マイクパフォーマンスはサービスタイムのみやったけど、今日は客が多い。

『解りやすいように言ったんやけど大丈夫だった?』
おしぼり取りに行ったとき聞かれた。

『解りました。今日忙しくなりそうですね...チャライ系なるべく拒否で宜しくです!!』

『出来る限りNGにする!今からつく客は何回か来てるけど、毎回フリー。社長さん。どうにか指名に繋げてみて!』

『...頑張りますっ!』

席に着いた。
これまた良い人そうな...
結婚指輪はしてた。
まぁ既婚者禁止なら風俗業界成立せんわな...

でも奥さん居る人の上に乗るんか。複雑。
意外にも根が真面目やから引っかかる。
無意識に指輪眺めて考えてた。

ふと言われた。
『気にせんで大丈夫。冷め切った家庭やし。子供は自立してるし。優チャン何歳?』

『18です。』

『息子がハタチやから、娘やなぁ~。娘の体は触れんなぁ♪』
悪戯っぽく笑った顔が柔らかくて安心できた。

スーツ脱いで羽織ってくれた。
こんな優しい客ばっかりなん?って錯覚してしまいそう...

ポカーンってなってた。
笑いながら、親指と人差し指で口をムニュッ!て、塞がれた。

『飲もっか♪普通のキャバや思うわ♪ホンマに18?中学生ちゃうよな?』

『良く言われます。体は14のまま成長止まってます...』

『色々ありそうやなってのは感じたけど、そっか...
こんな場所やけど、出逢った意味はあったみたいやね。
頑張ろうなっ!聞くことしか出来んけど...とりあえず乾杯やな♪』

会社のこと、社員のこと、世の中の様々なこと...色んな事いっぱい話してくれた。
ある意味世間知らずな自分からしたら勉強。

時間が来て、素直に淋しいと思った。
もっと色々話したいって。

俯いた顔を覗き込まれた。
『延長した♪』
優しい笑顔。
嬉しい。


誰かとこんなに話す事って無かったから、凄く楽しい。
それに、穏やかな気持ちになれる。
営業とかじゃなくて普通に楽しい。

本来自分が話すべきやのに、お客さんが色々話してくれてる。
逆にコッチがお金払うべきやなって感じな位。

『優チャンが素で楽しんでくれてるのが解るから嬉しいわ。
此処、何回か来てるけど、みんなニコニコするわけでもなく、上乗って来て、何もせんと「触れば?」みたいな感じで重たいだけやった!
今日の女の子次第では店変えようと思てたんや...優チャンに逢えて良かった♪
コレ、ポーチん中に隠しとき!!』
万札数枚握らされた。
『いやいやいやいや!!!援助や無いんやから!!手すら握ってないし!!』
何故か爆笑されるし。
よっぽど金持ちなんか?
せやったら施設に寄付を...

笑い終えて落ち着いた頃、店長と話してくるって席立った。
席から覗いたけど内容は聞こえん。
また笑ってるけど...
店長も笑ってるし...
なんかチョット苛っ!

戻ってきて顔見て笑う社長...
『なんなんほんまぁ~っ!』
肩パンした。
『お~お~可愛い可愛い!』
『馬鹿にしとろ!』
いつの間にかふざけてた。
社長も笑ってる。

ボーイがフード持って来た。
テーブルにギリ乗る位。
何これ!?
社長さんが言う。
『飲もっ!食べよっ!今日はラスト迄あと5時間飲むんや♪指名に切り替えてきたけん♪』

『てか殆どオープンラストやし!今日一緒に居れても、今日で終わりは嫌やで...』

『可愛いこと言うやんけ!うまいなぁ♪また来るまた来る!心配せんでも金あるし、社長やし♪』
悪戯そうに笑う社長...

社長か...
社長のお金心配するのは逆に失礼なんかな...
ラスト迄言うから安心してドライ飲み続けた。
無くなる前に必ず次のが来る。
社長が零那に見えんように合図してたんやろうな。
頼んでくれたモンは飲まな失礼やし...

何回かトイレ行ったけど普通に歩けてる。
クラッ!とするのはミラーボールのせいやろ。
店長も『頑張ったな!良かったなぁ♪♪♪』って、ごっつ喜んでくれてる!
初指名で、しかも超ロングタイム。
更にドリンクフードの売上もヤバイらしい。


席戻ったらフード増えてた。
店長が買ってた惣菜。
冷蔵庫に入れてたやつや。
なるほど。
そりゃそうか。
いちいち作れんわなぁ...


また乾杯する。
いっぱい飲んで食べて話して楽しくてアッ!とゆう間やった。


お見送りする。
会計中に言われた。
『終わったら焼肉行こ!』
『えっ!店開いてるん!?』
社長と店長が同時に爆笑。
んな笑うようなこと言うてないし。
なんなんほんま。
むくれた。
『終わったらスグ降りてきてな、待っとくけん!』
むくれたまんま『はぁ~い』って言ったら、また笑いくさった。
笑いながら出て行った。


店長が、ミーティング良いから着替えて行ってこい!って更衣室まで強引に連れて行かれた。

『コレ、はい!日給とチップ。頑張ったな!お疲れ様♪』

『チップ?』

『お客様が直接女の子にあげるお金。くれた時に断ったんやろ?日給と一緒に渡してあげてって。
あまり大金だとトラブルなっても困るし、過剰サービスの要求とかあるかもしれんし、教えて!そうじゃない限り貰いなさい。
今日もほんまに頑張ってくれたね♪美香がズットNo.1やけど、優チャン早からNo.2やわ♪ホンマお疲れ様♪』

なるほど、好意じゃないチップもあるんか。
てか金額...
結局なんぼ使わせたんやろ...
着替えて降りたら居った。

『あの、ほんまに大丈夫なんですか?チップも貰ったし...会計...』

また笑う...
なんかツボなんか?
どーせ他の普通の女とはちゃうけど...
もう笑われても気にせん!
笑い終わった社長が聞いてくる。
『今みたいに店終わりに食事や飲みに行くのは何て言うか知ってる?』
...既に半笑いやし...

どーせ知らんねやろって解ってるくせに聞いてくるんやからSやわ。
てか、おちょくられとる。
遊ばれてるし。
もぉ怒った感じで『知りません!』って答えた。
社長は吹き出した。
大爆笑。
やっぱ苛っ!とする。

『悪い悪い!ついついな!いじめたぁなるんやって!優チャン何も知らんし!
これ、アフター言うんで。覚えとき!優チャンなら、そのうちまたあるやろうし。
基本、スナックやキャバの子がするんやけどね。
セクキャバでアフターは殆どないね。客は生殺し状態、そんな状態でアフターは怖いやろ!!』

 
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