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ソードアート・オンライン 咎人が背負う運命

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罪を重ねる少年

限界を司る剣士は死を司る剣士に生まれ変わった。
限界を司る剣士は人の限界を超え先に進む事を許されたプレイヤー
死を司る剣士は名の通り死を司るプレイヤーだ。
少年に与えられたスキル リミテッドカオスは罪を背負い絶望を知った者が扱える罪のスキル
希望から絶望に変わったスキルは仮想世界全てのプレイヤーに呪いを与え世界を狂わす。

「俺を殺しに来たんですか?」

咎人は剣を構える。
先程、アスナを止め助けられたが俺は団長をヒースクリフを信じていない。
信じられる筈がない。
罪を知らない人間が罪を知った風に語る。
それがどれだけ無謀な行為か奴は知らない。
たかが剣の世界の王様が知る筈がない。
理解出来る筈がないんだ。

「俺を殺すなら最低でも30人は必要ですよ」

最低限の数が30人だが数で圧倒させるなら俺はもうこの世界で死んでいる。
物量では俺を殺せない。
そんな事実は団長は見抜いてい筈だが数は2人だけオレを殺しに来たのなら数が圧倒的に足りない。

「私達は君を殺しに来たんじゃない
調査に来たんだ」

「調査?」

確かに俺を殺しに来るなら最前線のトッププレイヤー達を集め数と質で俺を殺しに掛かるだろうが
まだ信じられない。
俺は咎人だ。
罪を背負い人を喰らい生き続ける亡者だ。
それを殺す為の罠とも考えられる。

「血盟騎士団の団長と副団長が揃って、ですか?」

普通なら有り得ない。
余計に信じられない。
最強のギルドの団長と副団長が2人揃ってダンジョン調査?

「信じるか信じないか。
それは君次第だ」

冷静な人だ。
何を考えているのか解らない。
巫山戯て言っている嘘か真実を言っているのか?
判断出来ないが嘘を言っているようには聞こえない。

「調査の内容は?」

「極秘だ」

即答で言われた。
極秘の内容で此処に来たなら血盟騎士団の団長と副団長が来ても不思議とは思わないが
極秘と言われると少し気になる。

「解りました。
先に進ませてもらいます」

止めていた足を前に出し進む。
このまま留まっていても時間の無駄と判断したからだ。
団長は俺を殺しに来た訳ではないのなら戦う必要もないしな。

「タクト君」

呼び止められた?
俺は恐る恐る振り返り団長を見る。

「君は何者だ?」

何者だ?
団長 ヒースクリフは知っている筈だ。
俺が何者で何をしたのか。
それなのに団長は俺に聞いた。
君は何者だと。

「俺は咎人です」

罪を背負い人の命を喰らう化物
限界を司る剣士から死を司る剣士に変わった少年の言葉は重く暗い。
だが、少年は後悔していない。
罪を償い先に進み死を迎える。
それでそれだけで俺は充分だ。

「そうか。
変な質問をして済まない」

「いえ、またボス戦で会いましょう」

冷たい目でアスナはコチラを見た。
今にでも鞘から剣を引き抜き俺の首を気と落とす準備は整っており殺気も痛い程伝わって来る。
だが、少女は動かない。
今、現在の状況なら後ろから俺に奇襲が可能で背中を切り刻む事も可能だろう。
それでも少女は動かない。

「キリト、お前はアスナの側に居なくていいのか?」

アスナを多分世界一心配しているであろう少年キリトに静かに話し掛ける。

「大丈夫だよ。
彼女はとても強いから」

「そうか?
俺から見たら今にでも泣きそうだが」

今の俺から見たらアスナは泣くのを我慢している女の子にしか見えない。
我慢して我慢して我慢が限界まで来て破裂しそうな顔だ。

「アスナは強い。
俺よりもお前よりも」

「知ってるよ。
アイツが俺達より強い事は」

あの女の子はとても強い。
俺達の何十倍も強く優しい女の子だ。
人を想い助け皆と笑い助け合う。

「俺も強くなりたいな」

「そうだな。
でも、多分、俺達は強くなれない」

「解ってる。
でも、今の俺達ならだろ?」

少年は笑う。
俺も何故か自然と笑ってしまう。
今の俺達では強くなれない。
でも、自分が変われば強くなれる。
俺も出来ればそう思いたい。

 
 

 
後書き
前回の続きです。
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