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FAIRY TAIL 忘却の最期

作者:大牟
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第12話 ナツVS.エルザ

「よし、完成だ。」

無事にマグノリアに帰ってきたラストは自室の物置部屋にいた。

物置・・・というより何かの儀式を行う様な造りになっていて、今しがた何かの儀式を行っていたようだ。

「これで戦局の幅が広がる上、エリゴールの様な強敵とも互角に渡り合える・・・」

ラストの呟きから察するに、何かの武器を造っていたようだ。

「ラスト~いる?」

玄関のドアからルーシィの声が聞こえてきた。

「どうした?」

玄関のドアを開けると

「よっ」

半裸のグレイと一緒にいるのを見て、思わず剣を抜いた。

「グレイお前何やってる」

「いや、ここに来る前に服がな」

「その脱ぎ癖どうにかならないのかっていうか何で平然にルーシィといるんだお前は!!」

「まあまあそれより早くギルド行こうよ」

「ギルド?あ、まさか今日だったのか例のアレ?」

「ラストは覚えてたか。そうだ、ナツとエルザの決闘だ」

呪歌事件解決の出発前にナツとエルザは、決闘の約束をしていた。
その決闘の日が、今日ということだ

ギルドへ向かうと、入り口で既に野次馬が大勢集まっていた。

「ホントに戦うんだ!?」

「本気でやらねば漢じゃねえ!」

「エルザは女の子よ?」

「怪物のメスさ」

「マカオ・・・後でエルザに殺されるぞ」

命知らずな発言をしたマカオにラストは青筋を立てた。

「だって最強チーム二人が激突したら・・・」

「最強チームだぁ?」

「お前とエルザ、ナツのことだぞグレイ」

「何言ってんだよラストくっだらねぇ。誰だそんなこと言った奴?」

グレイがそう言った後、ミラが泣き出した。

「ああミラちゃんだったんだ!?」

「あ、泣かした」

「確かにナツとグレイの漢気は認めるが最強と言われたら黙っておけねぇ。妖精の尻尾にはまだ強者が大勢いるんだ、俺とか」

さり気無く自分を最強と挙げたエルフマン

「最強の女魔導士はエルザで間違いないと思うけどね」

「最強の男となるとミストガンやラクサスもいるしな」

「レオルドに、あのオヤジも外せねぇ」

「あ、レビィちゃん!」

「ジェットとドロイも戻っていたのか」

「やっほ、ルーちゃん!」

「よぉラスト!」

「さっそく噂聞いてるぜ!」

レビィ達シャドウ・ギアとルーシィ、ラストは既に仲が良いのか軽い挨拶を交わした。

「私はただナツとグレイとエルザが一番相性いいかと思って・・・」

その間もミラは大袈裟に泣いていた。

「あれ~いつもエルザのいないところで二人が喧嘩してるからって心配してませんでした?」

「すみませ~ん」

ルーシィとラストの後ろから誰かの呼ぶ声が聞こえてきた。

「誰?」

「あ、もしかして」

ラストは心当たりがあった。

「妖精の尻尾在籍のラストさんは?」

「俺だ」

「注文の馬車をお届けしました」

「ありがとう」

馬が届いたのが気になったのか、レビィ達とミラが野次馬の中から出てきた。

「馬届いたんだ!」

「どんな馬なんだ?」

「見てみればわかるが、そこらの馬よりは速く走ることができるそうだ」

「見てみましょうよ!」

馬に興味が沸いた者を連れて、馬用の小屋があるギルドの裏に向かった。

「これが、俺が買った馬車と馬だ」

ラストが届いた馬を見せると、全員(ミラ以外)顔をひきつらせた。

そこにいた馬は

二本足で立ち、顔が高速で動いている

何処をどう見たら馬に見えるのか不思議な生き物だった。

「何処が馬よコレー!!?」

真っ先にツッコミを入れたのはルーシィ

「馬っていうか・・・・・・・・・・・・・・・・・・何だよこの生物!?」

「タンチモと言うらしい」

「いや名前聞いてんじゃなくて!!」

「まあかわいいわね!」

「ミラさん今言うことそこじゃない!!」

「ちゃんと血統書が付いてるれっきとした馬だ。ほら」

ラストが見せた血統書を見ても、まだ納得できない・・・というより付いていけてない一同だった。

「ラスト、お前騙されたんじゃねーのか?」

「失敬な、ちゃんとこの目で確認したぞ?人参を食べたし間違いない」

「「判断基準そこ!?」」

まだ納得しないジェットとドロイを見て、ラストは少し顔をしかめた。

「ちゃんと鳴くんだぞ馬みたいに・・・な、タンチモ?」

「ブルルンブルルンウヮーオ!!」

「「何処が馬の鳴き声だー!!」」

やはり納得いかず叫ぶジェットとドロイだった

「お前ら何やってんだよ、もう始まるぞ」

もうすぐ決闘が始まるらしく、グレイが呼びに小屋まで来ていた。

「いけね!」

「早く行こうぜ!」

「つか何だそれ?」

「馬だ、馬」

「は?どこが馬なんだ?」

「まあまあいいから」

決闘するナツとエルザのところに向かう一同の後ろで
何故馬だと思われていないのか納得できていないラストが唸りながら後を付いていった。

「こうしてお前と魔法をぶつけ合うのは何年ぶりかな?」

「あの時はガキだった。今は違うぞ!今日こそ勝つ!!」

「私も本気でいかせてもらうぞ」

エルザは紅色の鎧に換装した。
その鎧の名は、炎帝の鎧

「エルザはナツの炎を無効化させるつもりか」

「ねえ、ナツって大丈夫なのラスト?」

「無効化といっても完全ではない。ダメージは通るからナツの根気次第だな」

ナツ一番の相棒は

「やっぱりエルザに賭けていい?」

「「なんて愛のないネコ!?」」

カナ主催の賭け事でエルザに賭け直した

「あたしこういうのダメ!どっちも負けて欲しくないもん!」

「意外と純情なのな」

「意外とは何だグレイ」

「へっ、炎帝の鎧か!そうこなくっちゃ!これで心置きなく全力が出せるぞ!!」

「はじめぃ!!」

マカロフの号令と共に、ナツとエルザの決闘が始まった。

お互いの拳と剣を繰り出しあい、全て軽快に避けていく

「すごい!」

「な?いい勝負してんだろ?」

「どこが」

「互いの力は五分といったところか」

ナツとエルザの攻撃がぶつかり合う直前

「そこまでだ」

突然現れたカエルの姿をした人間の手を叩く音と同時にナツとエルザの攻撃が止まった。

「全員その場を動くな。私は評議員の使者である。」

評議員の単語にその場の全員が驚きの声を上げる。

「評議員!?」

「使者だって!?」

「何でこんなところに!?」

「あのビジュアルについてはスルーなのね・・・」

「知らないのも無理ないさルーシィ。評議会で働いている職員のほとんどは魔法で人間化し使役した動物だからな」

「えええええ!?」

評議会の使者の正体もそうだが、それを知っているラストにルーシィは驚愕した。

「先日の鉄の森事件において器物損壊罪他11件の罪の容疑で
エルザ・スカーレットを逮捕する。」

「な、何だとぉぉぉぉぉ!!?」






てなわけで






エルザが逮捕され、ギルドの中は重い空気に支配されていた。

「出せー!俺をここから出せー!!」

「ナツ、うるさいわよ」

ナツはトカゲの姿に変えられてコップの中に閉じ込められていた。

「ここから出せー!!」

「出したら暴れるでしょ?」

「暴れねーよ!つか元の身体に戻せよ!」

「そうしたらナツは助けに行くって言うでしょ?」

「言わねーよ!誰があんな奴!」

「相手が評議員じゃ手の出しようがねーんだよ」

「出せー!俺は一言言ってやるんだ!!評議員だかなんだか知らねーが間違ってんのはあっちだろ!?」

「白いもんでも評議員が黒って言ったら黒になんだよ。うちらの言い分なんか聞くもんか」

グレイの言う通りでもあるのだが、ギルドの全員はどこか納得できなかった。

今まで問題を起こしたことは始末書で済まされていたが、今回に限って何故逮捕することになったのか

「絶対、何か裏があるんだわ」

しばらく時が過ぎ、いてもたってもいられなくなったのかルーシィが立ち上がる。

「やっぱり放っておけない!証言をしに行きましょう!」

「まあ待て」

それをマカロフが引き止めた。

「何言ってんの!?これは不当逮捕!判決が起きてからじゃ間に合わないわ!!」

「ダメだルーシィ。今から評議員の裁判所に向かっても、どうしても判決には間に合わない」

「何言ってんのラスト!?アンタエルザが心配じゃないの!?」

「出せー!ここから出せー!!」

「ホントに出してもいいのか?」

マカロフにそう言われた後、ナツは急に黙りだした。

「ん?どうした、急に元気がなくなったな?」

マカロフは魔力弾を撃ちナツに当てると

「どわぁ!?」

トカゲだったナツが、マカオに変わっていた。

「マカオ!?」

「ええええええ!?」

「す、すまねぇ。ナツには借りがあってよぉ」

マカオはナツに扮したトカゲに変身し、ナツを評議員のフィオーレ支部へ向かわせていたようだ。

「じゃあナツは!?」

「まさかエルザを追って!?」

「シャレになんねーぞ!あいつなら評議員すら殴りそうだ!」

「全員黙っておれぃ!!静かに結果を待つがよい」

狼狽えるギルドの皆を一喝し、不安を覚えながらも静かに待つことにした。

そして、日が落ち始める頃

一羽の伝書鳩がギルドの中に入ってきた

「何だ?」

「マスター、評議員からです。」

「うむ」

マカロフは伝書鳩が送ってきた文書に目を通すと

「はぁ、やはりの」

大きくため息をついた

「安心せぃ、エルザは明日帰って来れるそうじゃ」

それを聞き、ギルド内に安堵の空気が流れた。

「よかった~」

「無罪になったってことだな」

「でも何で・・・」

「ラスト、話してやれぃ」

「え?あ、はい・・・」

ラストは、今回の逮捕騒ぎの説明を始めた。

「今回の逮捕は形式だけの逮捕だったんだ」

「形式だけの逮捕?」

「魔法界を取り締まる評議員としては、その姿勢を見せて犯罪を犯させないようにしているんだ」

「って、ことは・・・」

「ああ、有罪にはなるが懲役等の罰は受けない。」

「何だそれで・・・」

ルーシィは安心してため息を漏らす

「すまんルーシィ、もし本当に逮捕されている場合を考えてぬか喜びさせたくなかったんだ」

「ううん、別にいいよ」

「ということじゃがな・・・ラスト。エルザとバカモノを迎えに行ってくれんか?」

「俺がですか?」

「評議員からの指名でな。」

「え!?」

評議員は、迎えにラストを指名した。
その事実にギルドの全員が驚いた。

「何でラストなんだ?」

「まだギルドに入ったばかりだってのに・・・」

「分かりました。」

「せっかく馬車を買ったんじゃ。馬車で行けばどうじゃ?」

「ええ、早速タンチモに働いてもらいましょう」

フィオーレ支部までは遠いため、ラストは今夜出発することにした。

「ラスト、気を付けてね」

「ああ、行ってくるよルーシィ」

ルーシィに見送られ、ラストはタンチモを走らせた。





んでもって?





翌朝、ラストはフィオーレ裁判所に到着した。

「妖精の尻尾所属のラストです。」

「はい、お話は聞いております。どうぞ」

使者の案内で廊下を歩いていると

「ゲコ!?」

突然使者がその場でひざまつく

「初めまして・・・だな。」

目の前に蒼髪の男が歩み寄ってくる。

「お前は評議員の・・・」

「ジークレインだ。ご足労願ってすまないな。」

「今回はナツが申し訳なかった。」

「いや、面白いものが見られたからな。」

「そうか、俺を指名したのはお前だったのか」

「妖精の尻尾噂のルーキーの顔を拝んでおきたくてな。」

それを聞きラストは苦笑いを浮かべる

「どんな噂か聞かないでおくよ。それにそんな大層な結果は残していない」

「謙遜するな。評議員のジジイ共はいずれ問題を起こすだろうと言っているが、俺はお前を聖十大魔道にしてもいいと思っている。」

「は!?いくらなんでも聖十大魔道は早いだろ」

「それだけの魔力を持っている。俺はその力を買っているんだぜ?」

ジークレインの賞賛していたが、ラストは不信感を抱く

「邪魔して悪かったな」

「いや、大丈夫だ。」

「引き続き案内頼むぞ」

「はっ」

ジークレインの思念体が消え、ラストはナツとエルザのいる収容区画へ向かった。

「フッ、“保険”として申し分ないな、魔石使い・・・ダークブリングマスター」

本部のERAにいるジークレインは、不敵な笑みを浮かべていた。




そしてナツとエルザがギルドに帰ってきて

「シャバの空気はうめー!!」

ナツははしゃいでいた。

「エルザ!この前の続きだ!」

「よせ、疲れているんだ」

性懲りもなくエルザに勝負を挑んでいた。

「行くぞー!!」

「やれやれ」

お構いなしに挑んでくるナツを

エルザはハンマーを換装しなぎ倒した

「ごばぁぁぁぁぁ!?」

「仕方ない、始めようか」

「しゅ~りょ~!!」

「ダセェぞナツ!」

「やっぱりエルザは強―!」

ギルド内を笑い声が響く

「全く相変わらず・・・・・・・・・・ん」

ラストは突然強烈な眠気に襲われ、昏倒した。

そして、一気に眠気が吹き飛ばされた。

「な、何なんだ一体・・・」

「この魔法・・・ミストガンか」

「ミストガン?」

「妖精の尻尾最強の男候補の一人だ」

「どういうわけか誰にも姿を見られてくないらしく、今の様にギルドの全員を眠らせるんだ」

「何それ怪しすぎ!?」

ルーシィはミストガンの行動に驚いていたが、ラストはそれゆえの魔力の高さも合わせて驚いていた。

「だからマスター以外ミストガンの素顔を知らねぇんだ」

「いや、俺は知ってるぞ?」

2階の方から声を聞こえてきて、全員が上を見上げる。

「ラクサス!?」

「帰ってきてたのか!?」

「もう一人の最強候補だ」

「ミストガンはシャイなんだ。あまり詮索してやるな」

ラクサスの声を聞き、寝ていたナツが目を覚ます。

「ラクサス!俺を勝負しろ!!」

即効でラクサスに勝負を挑む

「さっきエルザにやられたばかりじゃねえか」

「そうそう、エルザごときに勝てないようじゃ俺には勝てねえよ」

「どういう意味だ」

「お、おい~落ち着けよエルザ」

殺気を見せるエルザにグレイはおどおどしながら宥めた。

「俺が最強ってことだ!」

「降りてこいこの野郎!」

「お前が上がってこい」

「上等だ!!」

ナツがラクサスへ向かおうと階段目がけて走り出し

「んぎゃ!?」

マカロフの巨大化した腕に潰され止められた。

「2階には上がってはならん!まだな」

「怒られてやんの」

「ラクサスもよさんか」

「妖精の尻尾最強の名は誰にも渡さねぇ!エルザにもミストガンにもレオルドにも、そしてあのオヤジにもな!俺が最強だ!!」

自分が最強

そう宣言するラクサスをナツ達が睨み付ける。

ラストは

(自分が最強・・・そう豪語する奴にロクな奴はいない)

心の中で、ラクサスを非難した。



第12話 完
 
 

 
後書き
次回予告

ラスト「何~!!ルーシィがナツ達と勝手にS級クエストに!?」

ミラ「そうなのよ。ハッピーが勝手に依頼書を持って行っちゃって・・・」

ラスト「で、その依頼というのは!?」

ミラ「ガルナ島よ」

ラスト「悪魔の島!?よりによってあんなところに・・・ナツの奴・・・!!」


次回 悪魔の島


ラスト「今行くからな!!待ってろよルーシィーーーーー!!!」

ミラ「こういう時のラストって、悪魔より恐ろしいかも・・・」
 
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