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美しき異形達

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第十八話 姉妹の力その十六

 怪人の身体を青白い炎が包んだ、その符号と炎が勝利の証だった。
 鈴蘭は怪人の背中に向き直ってだ、こう言った。
「勝ったわね」
「そうだ、貴様の勝ちだ」
「そうね、私のね」
「俺の動きを見切ったか」
「攻撃を見ているうちにね」
「そうか、そしてか」
「まずはね」
 腕、怪人のそこをだというのだ。
「突かせてもらったわ」
「それで俺の動きを止めてか」
「そういうことよ、目と腕を見て」
 その二つをだというのだ。
「そうして動きを読んで見切ってね」
「あの一撃の後でか」
「蹴りを加えてね」
 それを出したことも言う鈴蘭だった。
「倒させてもらったわ」
「止めも入れてか」
「勝負はね」
 それは、というと。
「一瞬で決まるのよ」
「その通りだな、そしてだな」
「貴方はこれで終わりね」
「その通りだ、俺は敗れた」
 青い炎は消えていっていた、そうして。
 その身体の先の方から灰になりだしていた、その灰の中で。
 彼はだ、鈴蘭に対して自らの敗北を言うのだった。
「貴様にな」
「潔いわね」
「敗北は敗北だ」 
 それに他ならないとも言った。
「それは認める」
「そうなのね」
「剣道だけではないのか」
「格闘も学んでいるわ」
「そうだな、変わった格闘術だな」
「マーシャルアーツに私のオリジナルを入れたわ」
 彼女自身のそれを、というのだ。
「それが私の格闘術よ」
「そういうことだな」
「そうよ、止めの蹴りもね」
「いい蹴りだった、ではな」
「これで消えるのね」
「さらばだ」
 これでだとだ、怪人も言ってだった。
 灰になり消えていく、その消えていく姿が鈴蘭の勝利の証だった。
 闘いは終わった、鈴蘭は灰が完全に消えてからだった。薊達に顔を向けて笑顔でこう言った。
「勝ったわよ」
「姉さん、見事だったわ」
「結構強い相手だったわね」
「そうよね、けれど今回も勝てたわね」
「ええ、ただ前の怪人よりも」
「強くなってるわね」
「そう思うわ」
 こう姉に答えた黒蘭だった。
「少しずつだけれど」
「そうね、けれどね」
「私達も強くなるだけよ」
「そういうことね、ではね」
 ここまで話してだ、そしてだった。
 鈴蘭は薊と裕香にもだ、笑顔で言った。
「じゃあ少し時間が遅くなったけれど」
「ああ、そうだな」
「それじゃあね」
「今日はこれでお別れね」
 これで、と言うのだった。
「また明日にね」
「会おうな」
「仲間ではないけれど」 
 それでもという鈴蘭だった。
「お友達になるかしらね」
「友達ならいいんだな」
「一緒に戦うことはないけれど」
 それでもだと言う鈴蘭だった。
「お友達ならいいわよね」
「ああ、宜しくな」
「私も」
 黒蘭もだった、ここで薊に言ってきた。
「少し考えが変わったわ」
「じゃあ黒蘭ちゃんもか」
「ええ、宜しくね」
 無表情だが、だ。薊と裕香に言うのだった。
「これからは」
「それじゃあな」
「ただ、仲間ではないから」
 友人であってもだ、鈴蘭はこのことは強調した。
「戦いは別々になるわね」
「まああたしは違う考えだけれどな」
 今もだとだ、薊は鈴蘭にこのことは確かに言った。
「それでも今はな」
「これ以上は言わないのね」
「そうするよ」
 一度にしつこく言っても逆効果だ、こう判断したからだ。
「またな」
「私も」
 裕香も姉妹に言った。
「宜しくね」
「ええ、裕香ちゃんともね」
「お友達になりましょう」
 二人は裕香にも答えた。
「それじゃあね」
「これからも」
「うん、寮にも遊びに来てね」 
 こう話してだ、そしてだった。
 四人は互いに友人になった、そうして。
 裕香がだ、話が一段落したところで薊にも言った。
「じゃあ薊ちゃん」
「ああ、寮に帰らないとな」
「門限に遅れたら怒られるから」
「暫く外出止めだよな」
 寮から出られなくなる、学校と部活はともかく休日も寮から出られない。寮での罰則では非常によくあるものである。
「それでその間ずっと掃除で」
「そうなるからね」
「もう帰ってな」
「うん、そういうことでね」
「それじゃあな」 
 薊は裕香と話してから姉妹にも顔を向けて言った。
「またな」
「明日ね」
 鈴蘭が微笑んで挨拶をしてだ、そうしてだった。
 薊と裕香は姉妹と別れそれから寮に帰った、幸い二人は間に合ってだった。外出止め等の罰則からは逃れられた。


第十八話   完


                            2014・5・18 
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