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ドラゴンクエストⅤ〜イレギュラーな冒険譚〜

作者:むぎちゃ
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第三十話 眠れない夜

 
前書き
今回でテルパドール編最後です。
ちなみに今回の話はちょっとピンクなシーンがあります。
ご注意ください。 

 
 アイシスさんから予言(予知?)をされ、私は宿屋に戻り昼食をとった後再びテルパドールの観光に出かけた。

「いや、オアシスというのは気持ちがいいものですな」

 マーリンがオアシスの水を飲み、言った。

「ホント、砂漠なのに快適に過ごせるよ」

「名産品の砂漠のバラも綺麗だったしね」

 砂漠のバラは砂で作った造花のバラだ。しかし、砂らしさなど微塵も感じられない。そのクオリティの高さに私とビアンカは驚いていた。

「けど、テルパドールに来てよかったんじゃない」

「なんで?ミレイ」

「だって二人の新婚旅行にはぴったりじゃん」

「ふふ、そうねミレイありがと」

 ビアンカはそう言うと、「ちょっと見に行きたいものがあるの」と言ってほかの店の方に行った。

「ミレイ殿、武器屋でいいものをみつけたのですが」

「?何?ピエール」

「これをミレイ殿に」

 ピエールが渡してくれたのは先が?のような形をした長い杖だった。

「武器はグリンガムの鞭があるから別にいいんだけど……」

「いやいや、ミレイ殿これは理力の杖といって、持ち主の魔力を杖に纏わせる事が出来、強烈な打撃を繰り出す事が出来る代物ですぞ」

 ピエールには感謝していない訳じゃないけど、武器に関しては慣れ親しんだグリンガムのほうが良い。

「確かにグリンガムの鞭は強力な代物ですけど、鞭一辺倒ではなくほかの武器と併用すると戦略の幅が広がりますぞ」

「……それもそうかもね、ピエールありがと」

「どういたしまして。ミレイ殿」

「あ、一つ質問」

「なんですか?」

「なんで私に武器くれたの?誕生日だったらまだわかるけど今日私の誕生日じゃないし」

「いえ……。ただ、いつもミレイ殿に世話になっているので」

「お礼がしたかったと」

「そんなところです。さて、私は何か良い防具がないか見てきますよ」

「ん。じゃ私は……食べ歩きでもしてよう」

「あ、おれもおいしいもん食べる」

 ドラきちが私の方に来た。

「さて、まずはこの店からにしよう」

 私たちは赤い屋根の店に入っていった。


 *

「食べ過ぎた」

「ミレイ大丈夫?」

「大丈夫じゃない。おなかが苦しい」

 ちなみにドラきちも苦しんでいる。

「まさかあんなに食べれたとは夢にも思わなかった……」

「部屋で休んでて。僕たちは下でジェラート食べてくる。後で持ってくるよ」

「いや、今食べる」

 私はベッドから起き上がった。

「やっぱり大丈夫だったじゃないか」

「ジェラートは別腹!」

「はぁぁ……」

「何よアベル、ため息ついちゃって」

「いや……なんでも」

 その後私たちはジェラートを食べ私は食後にお茶を飲み、ドラきちにもジェラートを持っていった。

 ドラきちは喜んでジェラートを食べた。

「あ、そうだ。紅白饅頭たべない?」

 結婚式の時、マリアさんから貰ったあれがあった。

「……ミレイ、胃がバカになってない?」

「いいや、全然」

「まだ、紅白饅頭には手をつけないよ」

「わかった」

 食べれないのは残念だったがまた苦しみたくはない。飲食で苦しむのは二日酔いで十分だ。

「私はちょっと荷物整理とパトリシアの毛づくろいしてから寝るよ」

 そう言って私は荷物置き場に向かった。


 *

「ふぅ~。時間かかった」

 まさか荷物があんな多くなっていたとは。

「さて、寝るか」

 私は部屋のドアを開けた。ベッドに入ろうとして気づいた。

「ここ、アベルとビアンカの部屋じゃん」

 私たちは人数が多いため幾つかの部屋に分かれて泊まっている。私は隣の自分の部屋とアベルたちの部屋を間違えたのだ。

「さっさと出よ……う!?」

 アベルとビアンカが入ってきた。

「やばい、レムオル」

 何がやばかったのかはわからなかったが、透明化呪文レムオルを唱えた。

 二人はベッドに入った。

(寝るのか?よしチャンス!出よう!)

 しかしそうじゃなかった。

「アベル、こっちに来て」

 ん?何かヤバイ予感がするぞ?

「愛しているわ。アベル……」

 ビアンカはそう言ってアベルを抱きしめ、アベルの肌に指を這わせた。

 まずい。これは見ちゃいかん!私はまだ14だ!

 しかし出ていこうにも扉の音でわかってしまう。

 結局私は目を瞑り耳をふさぎ眠れない夜を過ごすことになった。
 

 
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