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【完結】剣製の魔法少女戦記

作者:炎の剣製
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第六章 正義の在り処編
  第百七十六話  『リオンの猛攻と違和感な表情』

 
前書き
更新します。

今回はリオン VS スバル、ティアナの巻です。

ではどうぞー。 

 


最高評議会の元・メンバー、他に最高評議会に関わった研究者がバラバラ死体という凄惨な殺され方をして捜査中のフェイト達に発見された。
それで機動六課部隊長であるはやては本局からの命令で捜査の為に動き出した。
そして今現在判明している最高評議会の息がかかったメンバーが収容されている監獄施設にスターズとセイバーズの二隊は護衛のために召集された。
敵はいつ現れるか分からないという状況での護衛任務。
警戒は夜遅く、十二時過ぎまで行われていた。
だが、はやての読みは当たっていたらしく十二時を過ぎた頃になって監獄施設の周辺に転移魔法の反応が観測され襲撃者達が姿を現した。
それで直様応戦するシホ達。
東西南北でそれぞれ警護にあたっていたシホ達は余裕を持ってそれに対応した。
襲いかかってくる敵はシホの解析の魔術ですぐに正体が割れた。
それはなんと機械の兵士だったのだ。その手には殺傷兵器である剣や銃を握っている。
それで全員は魔法の防御ではもしもの時に大事に至ったらいけないとすぐに判断して回避に専念しながらも各々で撃破していく。
そんな中で襲撃者の中に一人だけ生体反応が観測されたためにちょうどそこの警備にあたっていたヴィータ、スバル、ティアナはその人間を逃がさないために機械兵士の攻撃をヴィータがすべて引き受けて、スバルとティアナが向かっていった。
牽制攻撃でスバルが放った一撃は襲撃者の主武装なのだろう双剣で切り伏せられたが、それでも構わずスバルとティアナの二人は襲撃者に攻撃を仕掛けていった。
だが、おかしな事にティアナの仕掛けたフェイク・シルエットが相手にまったく通用しなかったのだ。
それでセンサーの類が使われているのだろうとティアナは予測しながらも、ならばと実体とフェイクの全方位でのクロスファイアシュートを決行した。
そして襲撃者は思ったとおり足を止めて撃ち落とそうとするが、そこを狙っていたスバルがリボルバーナックルを構えて一気に駆けた。
その拳が直撃するあと少しという所で襲撃者はギリギリの状態で避け切った。
だがそれによって着ていたフードが顔部分が捲れてしまい素顔を晒してしまった。
フードの下に隠れていた本当の顔は、

「リ、リオン……?」
「えっ!? リオンなのッ!?」

スバルの呆然とした声の背後でティアナも誰かが分かったのか驚愕の声を上げる。
素顔を晒した事によってリオンの動きは一時停止する。
そして泣き笑いのような、そんな表情になりクシャっと顔を歪ませながらも、

「……………、久しぶりだね。ティア、スバル……」
「「ッ!!」」

リオンの表情は暗い。
なにかを必死に堪えているようなそんな声。
だがそれも黒い闇によって覆い隠してリオンは二人に話しかける。
それに対してスバルとティアナは普段なら致命的だとも言うべき大きな隙を作り出してしまっていた。
でも、リオンはそんな二人の様子に静の動作で双剣をダランと構えたままかかってはこない。

「できれば……こんな形の再会はしたくなかったよ……」

それがちょうどいいと言うべき状態だったために二人の混乱をよそに会話を一方的に続ける。

「り、リオン……」
「ん? なに、スバル……?」

スバルのかろうじて発せた言葉にリオンは平常心で返す。

「ッ! スバル! 気を引き締めなさい! 相手は襲撃者よ!!」
「ティア!?」

ティアナはスバルよりも早く意識を持ち直して、リオンの事情は今は心の隅に追いやってクロスミラージュを構えながらスバルを叱咤する。

「ティア、どうして……!」
「今はリオンを捕まえることだけ考えなさい! 話し合うことなら捕まえた後でもいくらでもできるんだから!」

そのティアナの言葉にスバルはようやく落ち着いてきたのか、

「うん!」
「よし!……さて、リオン。貴女がなんでこんな事をしているのか疑問は絶えないけど、今はあたし達のもとに捕まってもらうわよ!」

ティアナの宣言に、リオンは思わず「クスッ……」と笑みを溢す。

「さすがティアだね。少しでも動揺を誘えたらと思ったんだけど、すぐに復帰しちゃうんだから……おまけにスバルまで冷静にしちゃうんだから。やっぱり二人はいいコンビだね」
「ありがとう……。こんな状況じゃなければ嬉しい言葉だったんだけどね」

表情を険しくさせながらもティアナはクロスミラージュを構えていつでも撃てるという意思を示す。
そして、スバルは心の中で、

(……そうだ。あたしはまだティア、それにエリオ、キャロ、ランにレンの六人で一緒になのはさんやシホさんの教導を受けたり、仕事を一緒にしていきたい。
でも、それは無理なんだ。みんなもそれぞれの進路がある。
ティアはお兄さんの夢である執務官という夢に向かって動き出している。
エリオにキャロも一緒に同じ職場で頑張っていくって言っている。
ランとレンもシホさんと同じ職場で働くと進路を進めている。
あたし自身も念願の湾岸特別救助隊(レスキュー)からお声がかかってきているから、それを頑張りたい。
だからいつまでもみんなで一緒にいられないんだ。そばで一緒に守りそして守られないんだ……。
今回もティアの言葉がなきゃあたし一人じゃすぐにティアのような決断はできなかったと思う。
リオン………あたし達の親友。
今はどういう理由があってこんな事をしているのかすぐに聞き出したいけど、でもきっと間違った道なんだ! だからあたし達が間違った事をしているリオンを止めなきゃいけないんだ!
だから……ッ!!)

そう思い、スバルも覚悟を決めて、

「……リオン。今は理由は聞かない。聞いても馬鹿なあたしじゃすぐに理解できないと思うから。だから今は想いをこの拳に乗せてリオン、君を更正させるよ!! いこう、マッハキャリバー!!」
《はい。その言葉を待っていました、相棒!》

スバルの言葉にマッハキャリバーもいつものバディに戻ってくれたと安堵の気持ちになり、エンジンを吹かす。

「うん。スバルもらしさが戻ってきたね。でもね、ティア、スバル。わたしはまだ捕まるわけにはいかないんだ……」

そう言ってリオンは双剣を構える。
そして詠唱をする。

「唸りを上げろ、風神(フォンシェン)!」

それによって左手の緑の剣から風が巻き起こり出す。

「轟きを上げろ、雷神(レイシェン)!」

さらに右手の黄色い剣から雷が発生し出す。

「【電気】と【風王】の魔力変換資質!?」
「リオンはこんな能力も持っていたの!?」

スバルとティアナの驚きをよそに、リオンは双剣を二人に向けて構える。

「うまく避けてね? 当たったら痛いどころじゃすまないから! 『疾風迅雷(サンダーストーム)』ッ!!」

瞬間、リオンの双剣から膨大な魔力エネルギーが凶器となって放出される。
それは竜巻に電流が混ざっているようなものであり、もし直撃したら渦の中で感電して一巻の終わりだろう。
こんな至近距離でこんな魔法をぶっぱなしてくるリオンは容赦を知らないのだろうか?
今から回避するには時間が足りない。
そのためにスバルはティアナの前に即座に移動して手をかざして、

「レンほどあたしの防御は頑丈じゃないけど、ティアが後ろにいる! だから防いでみせる! プロテクション・EX!!」
「スバル!」

そしてリオンの疾風迅雷(サンダーストーム)とスバルのプロテクション・EXが激突する。
ギャリギャリッ!とスバルのプロテクションを削っていく。

「ぐ、ぐっ………ッ!!」

スバルは必死に耐えるが少しずつだが後ろに押されていく。

「マッハ、キャリバー……ッ!」
《足場は気にせずにプロテクションに集中してください。相棒の足は私が支えます!》
「スバル、頑張りなさい!」
「うん、ティア! ウオオオオオオーーーーーッ!!」

スバルはさらにプロテクションに魔力を注ぎ込む。
それでまた拮抗し出す。

「これなら……!」

ティアナがそう呟くが、そこでリオンがある言葉を呟く。

「シルバーブレッド……カートリッジロード」
「「!?」」

ただでさえ強力な暴風なのにさらに威力を上げようというのか。と二人は目を見開く。
そこでティアナはもう防げないとすぐに決断をして、ほぼ無意識にスバルの腰を両手で掴んでその場をシホ持込みの瞬動術で移動をかます。

「わっ!?」
「くっ!」

二人はそれで地面に転がるように横たわる。
そして二人がなんとか避けれたが、結果として暴風は勢いを増してスバル達の背後にある監獄施設に向かっていく。

「まさか、リオンの目的は……!?」
「もしかして、あたし達が避けるだろう未来を予測した!?」

そこで見ればリオンの口元には僅かに笑みが浮かべられている。
それは直感的にスバルとティアナは『やばい!』と感じ取れるくらいの笑みだった。
監獄施設に向かっていった暴風があと少しで衝突するというところで、しかし、その前に朱銀髪の女性が立ちはだかる。
女性は手を構えて、

「―――I am the bone of my sword(体は剣で出来ている)―――……熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)ーーー!!」

そこに桃色の七つの花弁が咲き誇り、疾風迅雷(サンダーストーム)を完全に防ぎ切った。
そう、シホ達が機械兵士達を倒して駆けつけてきてくれたのだ。

「スバル、ティアナ!」
「シホさん!」
「よかった!」

スバルとティアナの二人は頼もしい仲間達が駆けつけてきてくれた事に喜びを覚える。
そう、四箇所に散っていたスターズとセイバーズのメンバーが機械兵士を倒しきって合流してきたのだ。
しかし、それを見ていたリオンは心穏やかではないらしく、

「スバル、ティア……」

二人に聞こえるように声を出す。
それで二人はリオンの方へと向く。

「これだけのエース達が相手じゃ無理があるからね。ターゲット達を殺せなくて悔しいけど、此処は退かせてもらうね」

それでリオンの足元に転移専用の魔法陣が現れる。

「逃がさねーぞ!」

そこでヴィータがグラーフアイゼンの噴射口から炎を吹かしながら回転してリオンに迫っていく。

「オオリャァアアアーーーッ!!」

ヴィータのラケーテンハンマーがリオンへと迫っていく。
だがそこでまだ生き残っていた機械兵士が盾や剣を構えてヴィータの前に立ちふさがる。

「邪魔だぁーーー!!」

ヴィータの咆哮が上がるが、それはついには防波堤になって防がれてしまう。
そして、リオンの転送の準備が完了したらしく、

「ティア、スバル……ゴメン」

また儚い表情になりながらもリオンは転送してその場から消え失せてしまった。

「リオン………どうして、こんな事を……?」

スバルは無念の気持ちになりながらもそう呟くしかできなかった。

「(リオンのあの暗い表情、訓練生時代に隠し事をしている時の表情にかぶるわね……。なぜかしら、とても嫌な予感がするわ)」

ティアナはティアナでリオンのワケアリな表情に不安なものを抱いていた。

「……ロングアーチ。あの子の足取りは追えた?」

シホがスバルとティアナの表情に気付きながらも今は事態把握に努めていた。

『いえ。すみません、追いきれませんでした……』
「そう。まぁ、今回は防衛出来ただけでも良しとしましょうか」
『いや、それがそうもいかなくなったんよ、シホちゃん』

そこにはやての声が聞こえてきた。その声はどうにも暗い。
どうしたのだろうとシホは何があったのか問いかけると、

『悪い知らせや。私達機動六課以外の場所で護衛任務にあたっていた局員達が機械兵士の大群の物量に押し切られてしまって護衛対象者を殺害されてしもうたみたいなんよ』
「なんですって!?」

そのはやての報告に一緒に聞いていた全員にも激震が走る。

「敵はリオン、一人だけじゃないって事なんだね……」

スバルは俯いて小さくそう呟いた。
その表情はかなり辛いものがあったのは言うまでもない事である。

「スバルさん……。先ほどの女性の人は、やっぱり……」

ランが顔を俯かせているスバルにそう話しかける。
それでさらにスバルは拳をギュッと握りしめて、

「うん、そうだよ。彼女がリオン。なんでこんな事をしているのかわからないけど、絶対に捕まえるよ。
聞きたいことが山ほど出きたから、絶対に捕まえて理由を聞き出す。
だって、なぜかはわからないけどリオン、とても苦しそうだった!
あたし達に助けをきっと求めてきていた!」
「スバル、あんたもそう感じたのね……?」
「うん、ティア。だって、あんな表情がただの暗殺者に出せるわけがない! きっと、理由があるんだよ! あたしは最後までリオンのことを信じたい!!」

スバルの涙を流しながらも発するセリフに、黙って聞いていたシホ達も口を出すことにしたのかスバルに近寄ってきて肩に手を置いて、

「スバル。それにティアナも。あのリオンって言う子はどんな子かまた後で聞くことになると思うけど、彼女を助けたい……?」

シホの問いかけに二人は、

「はい、助けたいです! きっとリオンは……ッ!」
「あたしもです。訓練生時代からの仲ですから少しはリオンの事はわかっているつもりです。だから彼女の表情には違和感を感じたんです。こう、無理やりやらされているようなそんな感じがしました」
「そう……」

それでシホは少し考え込んだ後、

「うん。わかったわ。それなら私も二人の意思に協力させてもらうわ」
「いいんですか!?」

そこになのはも近寄ってきて、

「スバル、彼女のことが助けたいんでしょう? 私も昔、フェイトちゃんを助けたいって躍起だったからスバルの気持ちは痛いほどわかるよ。だから私も協力するね!」
「なのはさん! ありがとうございます!」
「さて、それじゃ情報集めでも開始しましょうかね。魔術事件対策課にでも協力を要請してみますか」

シホはアリサ達に協力を仰ぎに行くつもりらしい。
これはもう機動六課だけでは対処できない問題にまで膨れ上がってきているからだ。
管理局全体の問題にまで発展しないことをシホはただただ祈るばかりだった。


 
 

 
後書き
また被害者が出てしまいました。

機械兵士がガジェット並に厄介な兵器になりそうです。

それと、リオンの秘密はいくつか伏線を巻きましたが、さて……。
ちなみに風雷はスルーで。



それではご意見・ご感想・誤字脱字報告をお待ちしております。

では。 
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