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白日現

作者:ネアンデルタール家元


断末魔の叫びが途切れた。鹿が白目を剥いている。喉笛を裂かれ可愛らしい毛並みから鮮血が噴出している。これぞ自然の猛威だ。動物愛護だの癒しだのぬるい感情を頑としてはねのける。そんな生臭い現場こそ活力と人生の意義を与えてくれる。狙撃手メカのイノウエは製造工場を脱走したのち密猟者に加わった。自分を備品扱いしたボスをと一味を射殺し組織の金と武器を持って逃げた。それをナイロビの反政府勢力に売り懇意になった所で裏切った。人間メンバーを一人残らず始末したのち、武器商人として独立した。開業してからはライバルを裏工作で壊滅させ、手下となるアンドロイドを買収した大学研究機関に開発させた。完成後に資料と研究員を爆殺し、今では狙撃手メカの王国を築いている。密猟の需要は絶えない。人間どもと来たら死を病的に恐れるあまり狂ったように絶滅危惧種を保護している。かけがえのないものは貴重品になる。するとそこに高額の金が動く闇市場が生まれる。イノウエは密猟と保護のマッチポンプで莫大な資金を動かしている。彼の真意は何か。側近ですら窺い知れない。そんな悪徳業者の王道を歩んでいたある日、大切な顧客名簿が盗まれた。ランサムウェアである。犯人はイノウエの経理情報はおろか重ねた悪事の全てを公開すると脅している。期日までにデータを暗号化してでも隠蔽して見せよ。さもなくばどうなるか自明の理。なお、金銭交渉には応じないと言っている。イノウエは焦った。



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タイトル更新日時
白日現 2021年 09月 15日 08時 05分 

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