ピアノ弾きの土浦厳は関係性を退け日常生活に埋没していた。即興独創で糊口を凌いでいたが投げ銭を受ける際にデジャヴという一言が引っかかった。四畳半に戻り今までの五線譜を全て焼き捨てた。心機一転し新しい譜面を認めるも写経したかのように見覚えのある音階が並んでしまうのだ。土浦の音楽は温故知新と評価されてきた。新機軸を盛り込もうと奇をてらえばてらう程に原点回帰してしまう。ある時など捨て鉢になってありきたりな小節を切り貼りし投げやりになって演奏したところ聴衆のノスタルジーをくすぐってしまいスタンディングオベーションを浴びてしまう。土浦は茫然自失した
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タイトル | 更新日時 |
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裕福な電流 | 2021年 08月 31日 13時 32分 |
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