その日、桃太郎が攻めてくるというので鬼ヶ島は厳戒態勢にあった。敵は未成年一人に犬、キジ、猿といった小動物のグループで難攻不落の鬼ヶ島を攻め滅ぼそうという非常に舐めくさった態度なのであるが、偵察に出た青鬼が真っ青になって帰ってきた。「鬼大王様、敵はこわっぱとはいえ侮れません」「何じゃ青鬼ともあろう者が情けない」「いえ、それが桃太郎の奴めはキジや犬を手名付ける団子を持っておりまして」「知っておるわ。きびだんごであろう」「ご、ご存じなので?」「わっはっは、そう思って彼奴のきびだんごに仕掛けをしてやったわ」「何と‼鬼大王様、それは?」
「フゥーハハハ、今ごろトラップが発動しておるわ」
その頃、鬼ヶ島を目指す小舟のうえで一大バトルが展開していた。きびだんごのキビがくさっていたのだ!!
「うキーっ」猿が腹痛を訴えトイレ休憩をいいだした。しかしここは海のうえであるトイレなどない。桃太郎はそのまま海に出せといった。しかし猿は真っ赤な顔で桃太郎を引っ掻いた。「いくら何でも犬やキジといっしょにすんな!」猿がいうには犬やキジはそのへんでおかまいなくトイレをするが自分はいみじくも知的生命体である。犬畜生と一緒にするな、とこういう言い分だ。しかし下痢に見舞われていた犬やキジも人間並みの個室トイレをもとめた。なお小舟にトイレはない。しかも桃太郎も腹痛に苛まれている。かくしてトイレを巡って四つ巴の殺し合いが始まった。
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