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死刑判決の全容・裏調書

作者:ネアンデルタール家元


にちりんの死刑が執行されたので報告する。実にめでたい。初公判から35年。再審請求と差し戻しのピンポンダッシュが続く間に大勢の遺族が無念の死を迎えた。被害者と関係者が死に絶えても事件は消えない。残った被害者弁護士団は細々と粘り強い活動を続けた。歴史の波にのまれた証拠も生き証人の死滅も血塗られた悲しみを洗い流すことはできない。しかしいつか罪は贖われるのだ。もちろん、にちりんの死によって事件は解決したわけではない。我々人類は第二第三のにちりんを生み出してはならないのだ。昭和59年6月、北九州市小倉北区の山奥にあるレインボー温泉地下駐輪場で事件が起きた。パジャマ芸人のネグリジェ姫と夫のパジャマ王が定期駐輪場に自転車を止めようとしたところ、にちりんを名乗る男が太陽灯を振り回してパジャマ王の首を絞めた。にちりんの証言では「地球の公転のせいで『ちょっと』手元が狂った」という。ちょっとやそっとどころではない。電灯線は伝統芸能に則って電電公社の殿堂技術マニュアル通りに巻かれていた。でパジャマ王は窒息死し妻のネグリジェ姫がたまたま通りかかった従業員の月子に助けを求めた。にちりんをなだめた所「おめえだって月のぶんざいで太陽にタダ乗りしやがってよ」と言いがかりをつけられガソリンに火をつけられ死んだ。ネグリジェ姫はその隙に逃げ出したがにちりんは「二度とお天道様のもとに晒してやるぜ」と言ってネグリジェ姫を刺殺した。これがにちりん二輪駐輪場殺人事件の全容である。にちりんの犯行は余りに身勝手で残虐という理由で死刑判決が出た。もちろん、そんなことはない。
ところが、私としては一つ分かっていることがあった。この犯人は誰だったんだろうな?と。これからの自分の推理に少し自信を持ってもいるのだ。この事件には真犯人がいる。ネグリジェ姫だ。彼女は拡大自殺を図るためにちりんを雇った。夫に多額の保険金をかけにちりんを受取人にした。死んだ彼女と死刑になったにちりんは影武者だ。証拠はある



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タイトル更新日時
にちりんの死刑 2021年 08月 26日 10時 22分 

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