面の皮が厚い男の真心を話そう。古代チグリスユースケサンタルチア文明のころの出来事だ。神官見習いのアフメドは飲んだくれた生活に明け暮れていた。親父のセッ・トポジションは敬虔なアホダラ教徒だったが息子は出来が悪かった。お経や修行を早々にリタイアし勘当された。今では枯れた泉の畔で石工をしている。賽銭を浪費して寺を質に入れるような破戒僧むけに安っぽい神像を捏造して売りつけている。そうして稼いだ金を酒代に費やし、尽きた頃にまた石を彫るという自堕落な毎日だった。しかしアフメドも深酒がたたって腕が鈍るようになった。そして客は腐っても僧侶である。ジリ貧になる石像の品質にクレームが続出しはじめた。アフメドは商売を畳まざるを得なくなり父親に泣きついたのだ。しかしそう簡単に許してもらえない。セッ・トポジションは罪滅ぼしのためにバビロンで修行せよという。「そうしたら許してくれるのですか?父上」アフメドは頭をさげた。
「そうだ。愚息よ。バビロンへ行け。そこでバビロン大ピラミッドの建立に汗水たらせ」
「バビロン大ピラミッド?父上」
「そうだ。バビロン大ピラミッドの化粧板が剥がれかかっておる。それをお前の面の皮でどうにかするのだ」
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