つぶやき

海戦型
 
思いの外役に立たない話
ゲームとかでこんな企画やりたいから協力してくれる人集合ー!と誰かが言うと、だいたい一番最初にストーリーとか設定とかなら考えられる!という人がのこのこ出てきます。言わずもがなその手の企画で必要な人材というのはもっと具体的な技術を持っている人なので、設定とかアイデアとかはそんなに要らない人です。

でも最近になってそういう光景に対して抱く思いがちょっと変わりました。
どう変わったかというと、そもそも設定だけ考えることが出来ても何の意味もないから要らない以前の問題だなぁ、などと。

私は別段アイデアマンという訳ではないですが、これでも結構オリジナル小説の設定や世界観をそれなりに本気で考えて作ってました。でも、そうして作った5,6個の世界の中で芽吹いたのは私が他所のサイトで投稿してる小説だけ。しかもその世界は設定をそんなに練ってなくて、イメージこんなの、みたいな奴がいざ書き始めるとものすごく書けたので芽吹いたものでした。

短編としてぽつぽつ続いたものはありましたが、書けば書くほど力が尽きて、設定は残っていても続きを書く力が残っていませんでした。前に知ってる作者さんが「短編書き始めて最初は調子いいけど、後半ダルイだけになってくる」みたいなこと言っていたのにものすごく同意した覚えがあります。そう、そんな感じで潰えるんです。設定と世界観、ストーリーだけ考えてると、始めてみたら続かないんです。

正直私には理由は分かりません。ぼんやりこんな感じかな、と思うことはありますが。
ただ、感覚的に「ああ、これは続かないな」と心のどこかで悟る瞬間みたいなのはあります。

経験上、「最初のストーリーにアイデアを全部詰め込もうと思えば詰め込める」ものは、先細ります。発想そのものが一発屋で設定にキャラが動かされるので、最初の一発にしかパワーが籠らない。ボクシングの1ランド目ですごく飛ばしたせいでどんどん動きが悪くなって仕留められるみたいなものです。
個人的には近年世間で出回るライトノベル系はだいたいがこれに当たり、最初の一巻を読み終わった後に「もう一回読もう」と思わせるパワーがありません。

そして「最初のストーリーを書く間に自分の考えた設定とすり合わせが多く発生する」ものは、だいたい途中で力尽きます。なんというか、すり合わせしてる時点で書いてる側が自分の設定を御しきれずに振り回されている感じがします。だからスタートダッシュにそもそも失敗している。
これはいわゆる失敗作。世間様に見せられるクオリティにならないし、やりたいことも出来ないまま潰えます。波に乗りそこなったサーファーです。

だから、設定なんていくら考えても意味がないんです。実るかどうかも分からない野菜の種を種類だけたくさん集めても意味はないし、畑に上手くばら撒けなければできる野菜もできません。だから設定という存在に意義はあっても、意味はない。後で作るストーリーに活かせなければないのと同じことです。
ただ、集めた種にちょうどいい土壌があとから見つかったりすることはあるので、意味はなくとも価値はあります。

結局波に乗れれば書けて、乗れなければ書けないというだけなのかもしれません。
大事なのは勢いと、いけるかどうかの見極め。自分でそれを勝手に再確認した話でした。オチなし。