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龍が如く‐未来想う者たち‐
秋山 駿
第一章 崩壊する生活
第二話 消えた少女と東城会
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秋山は既に、何本目かわからない煙草を吸っていた。
外は既に闇に包まれており、携帯で時計を見れば20時を過ぎている。

ひっきりなしに毎日訪れる顧客対応や集金をこなしながらも、花ちゃんと2人で1日中澤村遥の足取りを追っていた。
普段は仕事を面倒くさがる秋山も、今回は珍しく仕事も調査も熱心になっている。
花ちゃんはその姿に感心しながらも、パソコンと長時間向き合っていた。

ひとしきり顧客対応を終え煙草で休憩していた秋山が、空腹を訴えてくる自分の腹の虫にようやく気付く。
あぁ、そういえば昼飯も食べてないやと心の中で笑った。


「花ちゃん、そろそろ晩飯食べる?」
「あっ!!じゃあ韓来(かんらい)の焼肉弁当5つ頼みますね!!」


韓来とは、神室町で有名な焼き肉店。
お手頃な価格で美味しいお肉が食べれると、大人から子供まで人気のあるお店だ。
お持ち帰りメニューの中で大人気な焼肉弁当があり、それが花ちゃんの大好物である。

それを聞いて承ったと無言で頷きながら財布を持ち、そのまま事務所から出ていった。
笑顔で見送ったものの、その顔はすぐに不安な表情に切り替わる。


「秋山さん、相当切羽詰まってるんですね……」


花ちゃんは何とか社長を支えたい一心で気合を入れ直し、再びパソコンへ向き直った。







韓来で焼肉弁当を買い、両手に大量の袋を持ちながら帰路を歩く。
ガサガサと袋の音が少し鬱陶しく思い、外に出てから3本目の煙草を吸う。


「ふーっ」


大きく煙を吐きながら、消えた少女・遥について考える。

幼い頃に施設に預けられたが、母に会いたい一心で1人神室町を訪れた少女は、桐生一馬と出会う。
再会を果たすも母を失ってしまった遥は桐生が預かる事になり、その事件以降は共に暮らしていた。
だが彼女の『アイドルになる』という夢を叶える為に桐生の元を去り、1人大阪で暮らしていた。
何もかもが上手くいっていると思っていた矢先、所属していた事務所の大きな事件に遭遇してしまう。
そんな時に遥は、秋山と出会ったのだ。


「まだ、半年なんだな」


空に消える煙を眺めながら、小さくそう呟く。
事件後に消えた澤村遥の足取りは、今や誰も知らない。
だからこそ秋山は、彼女を探すべきだと考えた。
遥こそが、桐生と繋がる鍵になると信じて。

煙を眺めながら歩き、気が付くとスカイファイナンスの下に帰って来ていた。
重い弁当の入った袋を両手に持ち直し、数段階段を上った所で気が付く。
聞き取りにくいが、スカイファイナンスの方から話し声が聞こえる。


「お客さん?こんな時間に珍しいな」


大体夜に来る客は、厄介ごとを持ってくる人が多い。
人目を忍んで訪れる
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