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自由惑星同盟最高評議会議長ホアン・ルイ
第十四話
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かんでいるかによるが機雷による封鎖は念頭に入れるべきだろう。ワーレン艦隊が本隊を持って回廊を塞いでくることも考えられる。




 ワーレン艦隊と同盟軍本隊の戦いは、ワーレン艦隊の先制攻撃で切って落とされた。
「敵艦隊補足、方位水平方向90度、垂直方向5度、距離5.1光秒」
「エネルギー波接近!」
「全艦戦闘態勢を整えろ」
 同盟軍主力艦隊に旗艦であるリオ・グランデに矢継ぎ早に情報が届き、同時に矢継ぎ早に指示が出された。帝国艦隊の発砲の後に同盟軍司令部の指示が発せられたが、その指示は帝国艦隊の砲撃が着弾するまでの僅か数秒で艦隊に行き届いていた。
 ヤンは側面からの奇襲を頭に入れていた。彼も同盟艦隊が帝国領を通過する間寝ずにずっと艦橋にいるわけにも行かない。すばやく指示が出せるよう航路図から帝国軍が仕掛けてくるだろうポイントを幾つか割り出しその場所を通る時は起きているようにしていた。
 帝国軍の一斉砲撃が、縦に伸びた同盟艦隊の側面中央に突き刺さった。砲撃が着弾した瞬間、何百光年を航行し数光秒をもの射程を誇る砲を持つ船は一瞬にして大きな棺桶と化す。それが一瞬にして数百個生まれた。
「敵艦隊、突撃してきます」
 これも同盟軍の予想したとおりだった。そこまで難しいことではない。ただ第一次ラグナロック作戦のランテマリオ星域会戦の立場が入れ変わった。数で劣る帝国軍が同盟軍を中央から分断し各個撃破しようとしだけだ。
 一斉砲撃によって同盟艦隊に出来た穴に帝国艦隊が突撃する。帝国艦隊の突撃は苛烈を極め被害を出しつつもついに同盟艦隊を二分させることに成功する。

 第一次ラグナロック作戦とは違い帝国軍は中央突破を成功させた。あとは各個撃破するのみ、そう帝国軍は考えていた。
 数年前、同盟における救国軍事会議のクーデターでドーリア会戦と言うものがあった。その時ヤンは戦略的に相手を二分し、中央突破をすることで戦術的にさらに相手を二分した。結果としてヤンは勝利した。しかし二分した=勝利ではない。例えばドーリア会戦のヤンの相手であったルグランジュ提督に艦隊が二分させられたのを逆利用してヤンを挟撃するという「よほど柔軟で洗練された戦術能力」があったならば勝敗は変わっていたはずだ。分断されたのを逆利用して、相手を挟撃すると言う手が取れるからだ。とにかくこの場において帝国軍が不幸なのは「例えばヤンが持っているような、よほど柔軟で洗練された戦術能力」をヤンが持っていたことである。

 同盟軍の分断に成功した帝国軍は、分断した同盟軍の片方を半方位に置こうとした。しかしそれは叶わなかった。同盟軍が分断されたのは初めから艦隊を二手に分けるつもりだったからであり、帝国艦隊は前方は開けているもの、のいつの間にか同盟艦隊に距離をとられ激しい砲撃にさらされていた。さら
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