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銀河英雄伝説〜美しい夢〜
第十二話 ベーネミュンデ侯爵夫人(その6)
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な奴だ、そう思うと少し神経がささくれだった。
「まだだ、陛下への御報告と夫人への処分の言い渡しが残っている。私とリヒテンラーデ侯が行う事になった」
「それは……、御愁傷様としか言いようがないな」
馬鹿野郎、誰の所為でこうなったと思っている。養子になどならなければこんなことにはならなかったんだ。

戦場に出たい、ふとそう思った。そして馬鹿げていると自分を叱責した。しかしオーディンに居る限り自分はブラウンシュバイク公として権力の腐臭にまとわりつかれる事になるだろう。この腐臭を払い落すには宇宙に出るしかないと思った。原作のラインハルトも同じように思ったのかもしれない。潔癖なラインハルトではその思いは俺よりも強かっただろう。

改革を進めるべきだ。貴族達の特権を制限し、その権力を弱める。そうする事で腐臭も多少は弱まるだろう。帝国全体にというのは時期尚早だろうな。ブラウンシュバイク公領で行うのも反対が出るだろう。どこか、実験場が要る……。リメス男爵家を復活させるのも一つの手ではある……。それに、例の件も有るか……。

「エーリッヒ、どうした、立ち止まって」
「いや、なんでもない」
何時の間にか足を止めて考え込んでいたらしい。それとも屋敷に入りたくないと無意識に思ったか……。小糠三合持ったら養子に行くなか、上手い事を言ったものだ。

空を見上げた。オーディンの夏の夜空は満天の星に彩られていた。美しく穢れの無い世界。あそこでなら俺は自由になれるかもしれない。ブラウンシュバイク公の名前から開放されるかもしれない。腐臭とも無縁だろう……。あそこに行こう、もう一度思った。






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