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覇王と修羅王
合宿編
十二話
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してそんな知りたがるんかね?」
「……そうねぇ」

 ルーテシアは少し思案した後、手元に置いたクラウスの回顧録の写本を開き、オリヴィエの絵が乗るページで手を止めた。

「……未だ王達の関係は謎が多くて、現代でも明確になってない。だからこの手の歴史研究者にとって、アレクやアインハルトの詳細を知れば……とても欲しくなると思う。それが誠意ある人だったら良いけど、次元犯罪者だったら……どうなると思う?」

 ルーテシアは質問に、アレクは訝しげる。ただの質問にしては重く、現実味が帯びているような気がした。
 だが、質問に対するアレクの考えは至って簡素で、売られた喧嘩は買う、だ。
 手を出すのならば剛腕を持って徹底的に粉砕し、場合によっては殺害も仕方なし。防衛での殺しは、罪に問われないのだから。
 とは言え、そんな事を言える筈もなく、適度に抑えて返答する。

「手を出したら……爆散ものですな」
「それはそれは豪快ですな。……でも、大切な人を人質にされたら?」

 続く質問に、真っ先に浮かぶのは叔父の姿。
 だが、アレクがこの前に挑んでも軽くブッ飛ばされたので、人質にされるイメージが全く浮かばない。助けに行っても、屍の上に平然と立っている図しか浮かばない。浮かんだとしても、叔父の軽く払う様な一撃で粉々になっていく。……あんな化け物が、どうやったら人質になるんだ?

「何考えてるか分からないけど。……アレクに何か遭ったら私達も心配するし間違いなく助けに行くから、其処は覚えといて」
「……なして?」
「放っておけないからよ。特にヴィヴィオなんて、親しくしたい人は大事な人と言っても過言じゃないくらいだし」
「むぅ」

 面倒な、とアレクは思うが、その一方でムズムズとこそばゆい様な感覚が付き纏う。
 この感覚はなんだろうか。逃げられないような事を言っているが、何故か悪い気はせず、寧ろ逆のような感じがする。
 悩み始めたアレクにルーテシアは、なるほど、だから連れて来たのか、と内心で呟いた。
 だが、リオとコロナの前でこれ以上は聞けないので、一先ず話を戻す。

「さて、なんで知りたがるか分かったと思うから話を戻しましょうか。リオとコロナも待ちくたびれてるしね。クラウスとアレディ・ナアシュ……だっけ? 彼等はどんな関係だったの?」
「……ガチりあった仲、かね。なんか一方的だったみたいだけど」
「いつ頃か判る?」
「王女さんが居なくなった後らしいけど……詳しくはアインハルトに訊いたほうがいいと思う」

 観念して答え始めたアレクに頷きながらルーテシアは写本を捲る。
 クラウスとオリヴィエは別時代を生きたという説が多い中、この回顧録では姉弟のように育ったと記されている。アインハルトの記憶と照らし合わせると、概ね正しいものと
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