暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
天使炎上篇
12.仮面の真実
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神意の暁(オリスブラッド)”が従えし者たちの内、戦闘を好む荒々しい者が血を沸騰せんばかりに昂らせる。

 上昇を続けていたエレベーターが、最上階に到達し、さらにエレベーターを乗り換えて屋上へと到達する。この辺りでは、最も高い建物のこの場所が飛行能力を持つ“仮面憑き”を監視するのに最適な場所だ。
 屋上に辿り着いたと同時に血が昂ぶる。血の感覚を頼りに辺りを見渡すと真新しい建物の上半分がごっそり抉られた建物の光景が目についた。

「あんな巨大な爆発がおきていたのに、わたしは気づきませんでした。魔術や召喚であれだけの破壊力を生み出したなら、相当な魔力が放出されたはずですけど」

「獅子王機関の剣巫でも感知できなかった、ということは……やはりな」

 那月が奇妙に納得したように呟いた。

「つまり“仮面憑き”ってやつらは、魔力を使わずしてあんなことをやってのけてるってことか……」

「わからん。本人たちに訊けばすぐにわかることだ……殺すなよ、暁、緒河」

 彼女の目線の先には、繁華街の外れの巨大な電波塔の上空。
 そこに二つの光源体が激しくぶつかり合っている。

「──“仮面憑き”!?」

「思ったよりも早く現れたな。アスタルテ、花火の時間だ、と公社の連中に伝えろ」

命令受諾(アクセプト)

 那月の指示にアスタルテが、浴衣の袖口から無線機らしきものを取り出して操作する。

「那月ちゃん、花火ってなんだ?」

「今どきの若者は、打ち上げ花火も知らんのか」

 愛用の扇子を広げながら呟いた。その直後、彩斗たちの背後で、爆音が鳴った。色とりどりの大輪が夜空に咲き誇っている。
 打ち上げ花火。発射地点は、“仮面憑き”と真逆の方向。

「これで庶民どもの目はあちらを向く。多少の爆発や騒ぎは誤魔化せるはずだ」

 たしかに打ち上げ花火の轟音などは、“仮面憑き”の正体を隠すのに最適だ。

「花火に気を取られている庶民どもが、異変に気づく前に片をつける。跳ぶぞ」

「えっ? 跳ぶって──」

 那月の声に嫌な予感を覚えて古城と彩斗は振り返る。
 その瞬間、強烈な目眩に襲われ、少し遅れて、地面に着地した感覚を味わう。
 赤と白に塗り分けられた電波塔。戦闘中の“仮面憑き”たちの真下である。那月の空間転移で無理やり連れて来られたのだ。

「先輩たち、上です! 気をつけて──!」

 その声につられて顔を上げたさいとと古城は、息を呑んだ。
 二体の“仮面憑き”は、共に小柄な少女のような姿。
 だが彼女たちの背中には、血管まみれの醜悪な翼が何枚も不揃いに生えている。
 剥き出しの細い手脚には不気味な模様が浮かび上がり、無数の眼球を象った不気味な仮面が、彼女たちの頭部を覆っ
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