第四章
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「もうね」
「そうね、どうせ素人同士だしね」
「経験者もいるけれどね」
「もうね、それだったらね」
「いいわよね」
こう話してだ、もう演奏の上手下手はどうでもいい感じで進めることにした。とにかく楽しくすることを優先させた。
そしてだ、練習もしていって。
遂にだ、卒業式を迎えた。
卒業式を終えてだ、すぐにだった。
体育館を出た三年生、つまり私達の仲間にだ。私は笑顔で声をかけた。見ると泣いている娘もいたけれど。
その皆にだ、私は言った。
「皆、第二体育館に来て!」
「えっ、第二体育館!?」
「そこに?」
「うん、今から来て!」
こう皆に言った。
「いいことあるから!」
「いいことって一体」
「何かしら」
「卒業したけれど」
「それでもって」
「来ればわかるわよ」
私は明るい笑顔で終わった、お別れだと思って悲しい顔になっている子もいる皆に対してこうも言った。
「あそこにね」
「?何だろう」
「けれどこの後特に予定もないし」
「それじゃあね」
「別に第二体育館行ってもね」
「いいわよね」
「それじゃあ」
男の子も女の子もだった、皆が。
第二体育館に来てくれた、もうセッティングが出来ていた。
そこに皆が入って来た、卒業生だけでなく二年の子や一年の子達まで。男の子も女の子も皆来てくれた。
皆セッティングを見てだ、こう言った。
「ああ、ライブか」
「ライブするんだ」
「何か随分数が多いね、楽器の」
「一体どんなライブかな」
「それを見せてもらおうか」
「そうよね」
「折角の卒業式だし」
それでだった。
「観させてもらおうかしら」
「そうだよな、今から」
「それじゃあ」
こう話してくれていた、私達は体育館の舞台そのセッティングのある場所の裏でその様子を見ていた。そうして。
一人の娘がだ、緊張している顔でこんなことを言ってきた。
「うわ、今からと思うと」
「緊張するわね」
「皆来てるわよ」
「卒業生の子達だけじゃなくて」
それこそだった。
「二年の子も一年の子も」
「皆来たわね」
「まさか二年や一年の子も来るなんて」
「考えてなかったわ」
「聴いてくれる人目茶苦茶多いじゃない」
「先生達もいて」
ライブをしようとは思った、けれど。
観客の人達の数があんまりにも多くてだ、皆だった。
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