第一話 赤い転校生その十八
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「天極智和、三年特進科A組の者です」
「天枢薊、このクラスの奴だよ」
薊は智和にも明るい笑顔で挨拶をした。
「昨日からそうなったんだよ」
「そうですか」
「ああ、先輩に敬語使われたら恥ずかしいからさ」
丁寧な口調の智和に大して言う。
「あたしも敬語は使えないから」
「では」
「ああ、いつもの口調でいいよ」
こう言うのだった、智和に。
「それでさ」
「それでは天枢さん」
「名前でいいよ、薊でさ」
このことも言う薊だった、やはり明るい顔で。
「その呼び方で」
「では薊さん」
智和は薊の言葉を受けてあらためて彼女を呼んだ、彼女が望み呼び方で。
「お聞きしたいことがあってこのクラスに来たけれど」
「あたしに?」
「君は拳法をやっているね」
「モトクロスとな」
その二つに励んでいるとだ、薊は智和に答えた。
「どっちも大好きだよ」
「そうだね、そしてかなりの運動神経を誇っているそうだけれど」
「体力と素早さには自信があるさ、実際にな」
「うん、ただ」
「ただ?」
「君のその能力は大切にするんだ」
智和は知的なうえにそこに優しさを込めた声でこう告げた、薊の言葉を受けてから。
「そしてその力で手に入れるもの、探すものがあるかも知れない」
「?何だよそれ」
智和の今の言葉を聞いてだった、薊は目を顰めさせた。そのうえでいぶかしむ顔になりそのうえで智和に問返した。
「手に入れるもの?それに探すもの?」
「そう、君自身のことについて」
「よくわからないな。あたしが手に入れるものかよ」
「探すものも出て来るだろうね」
「余計にわからないな、あたしにそんなものあるのかね」
「わかるかも知れない。けれどその時は」
智和はいぶかしみ続ける薊にさらに話す、まるで言い聞かせる様にして。
「周りを見るといい、君は一人ではないだろうし僕もよかったら」
「先輩も?」
「何か力になれるならそうしたい」
「余計にわからないね。ひょっとして先輩」
薊は智和の話を聞いても彼の言っていることが全くわからなかった、それでいぶかしむばかりになって言うのだった。
「あたしと友達になりたいのかい?」
「友達?」
「ああ、ひょっとしてそうなのかい?」
「そうだね。友達だと思ってくれたら」
智和は微笑みだ、そのうえで薊に答えた。
「そうなりたいね」
「そうか、じゃあこれからあたし達は友達か」
「君の方は構わないんだね」
「あたしは相当酷い奴でない限りさ」
それこそだ、人格障害者クラスの性格の悪さの持ち主でなければというのだ。残念ながら世の中にはそこまで悪質な輩もいるが。
「友達になってくれるなら」
「いいんだね」
「ああ、それじゃあこれから宜しくな」
「こちらこそ」
智和は微笑
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