第一話 赤い転校生その十
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薊はクラスでも部活でも早速馴染めた、そして寮に入ると。
そこにも裕香がいた、丁度入浴する時に脱衣場で一緒になった、薊はその裕香の顔を見て目を丸くさせて言った。
「あんたも寮生だったのか」
「そうなの、言い忘れてたけれど」
「じゃああんたもかい」
「うん、私は奈良の生まれでね」
裕香は服を脱ぎながら薊に答える。薊も服を脱いでいる。赤いブラの下の胸は程よい大きさと言うべきであろうか。
「色々高校受けたけれど」
「それでここも受けたんだな」
「そうなの、それで奈良県の他の高校も合格してたけれど」
今も服を脱ぎながら話す。
「私のお家って奈良の田舎の方なの」
「どの辺りだい?」
「南の。十津川の方なのよ」
「十津川っていうと」
「もう山奥でね」
苦笑いで語ることだった。
「私のお家も山奥の集落みたいな場所にあって」
「何か凄い場所なんだな」
「野生の動物が本当にいる様な」
「猿とか鹿が出るとかかい?」
「猪とか本当に出るのよ」
まさにそうした場所だというのだ。
「過疎化も進んでてね」
「奈良県ってそんな田舎かい?」
「南の方はね」
そうだと薊に話すのだった、二人共服を完全に脱ぎ終え一糸まとわぬ姿になっていた。それぞれのボディーソープやシャンプーにリンス、それとスポンジ等を持って風呂場に入る。風呂場には多くの女子生徒がいてそれぞれ湯船に浸かり身体を洗いシャワーを浴びている。
その風呂場の中に入りだ、裕香は薊に奈良のことを話すのだった。
「もうかなりのものよ」
「奈良市とかあるだろ?」
「奈良は北の方は人が多いのよ」
「北はかい」
「そうなの、その奈良市とか郡山市、橿原市とかがあって」
「そっちは栄えててか」
「近鉄やJRも通ってるけれど」
線路に駅もあるというのだ。
「もう南はね」
「列車もかよ」
「ないの」
「それはかなり不便だな」
「そうでしょ。だから私ずっとそこから出たかったのよ」
「その十津川の方からか」
「都会に憧れててね」
裕香は薊にその事情を話す、二人は共に鏡の前に隣同士になって座った。そのうえで二人でさらに話すのだった。
「神戸って都会でしょ」
「だよな、人も多いしさ」
「最初神戸に入ってびっくりしたわ」
その賑やかさにだというのだ。
「これからこの街にいられるってね」
頭からシャワーを浴びつつ話す、薊はもう自分の身体を洗いだしている。
「夢みたいって」
「この学園だって人多いしな」
「私がいた村よりずっと多いわよ」
「コンビニもあるしな」
「コンビニなんてとても」
裕香は苦笑いで言った。
「なかったわ」
「おいおい、コンビニもかよ」
「コンビニどころか他のお店も」
「なかったのかよ」
「殆どね。小さな駄
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