第一話 赤い転校生その二
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「どんな奴だろうな」
「何かあるかもね」
「普通の子ならいいけれど」
「そうだよな」
誰もが期待と不安を感じていた、そして。
その転校生をだ、先生が呼んだ。
「どうぞ」
「あいよ」
女の子の声だった、高く何処か幼い感じがする、そして口調はいささか乱暴だった。
赤いブレザーに緑と黒、そこに白やダークブルーも入ったタートンチェックのかなり短いプリッツスカート、それにだった。
赤いネクタイを無造作に巻いている。ネクタイの首のところがかなり空いている。白いブラウスも第一ボタンが空いている。黒いソックスにダークブラウンの靴である。白い脚がほぼ丸出しだ。
胸はあまりなく背は一五五程であろうか、小柄と言っていい。赤毛の髪の毛でかなり癖のあるショートカトだ、黒い目は大きく多少吊り上がっている。唇は小さく顔自体もそうだ。顔立ちは少年めいているがシミ一つなく綺麗な感じである。
その少女を見てだ、クラスの面々はここでもひそひそと話した。
「女の子か」
「そうだったわね」
「結構可愛いか?」
「悪くないわね」
「ちょっと不良っぽいけれど」
「何かね」
そうしたところも見た、少女はダークレッドの鞄を右手に持ち背中にかける様にして持っている。その姿勢でだった。
教壇のところに来た、そうして名前を書いた。その名前はというと。
「天枢薊、宜しくな」
「うちの高校に自分の意志で関東の方から転校してきたそうだ」
「横須賀だよ」
その少女薊はぶっきらぼうな調子でこう述べた。
「横須賀から来たんだよ」
「へえ、横須賀かあ」
「海自さんの基地がある」
「あそこから来たんだ」
「関東の人なの」
「寮に入るとのことなので」
薊本人からの話を聞いて話す生徒達にだ、先生は話す。
「寮生の娘達は宜しくな」
「ああ、そういえば昨日ね」
「そうよね」
女子の中で寮生の娘達が話す、八条学園は全国から生徒が集まるので寮もあるのだ。設備はかなり充実している。
「誰か寮に入っていたわね」
「あの娘がなのね」
「仲良くやっていければいいけれどね」
「そうよね」
「あたしの席はあそこか」
薊はクラスの窓際の一番後ろの席を見て述べた。
そのうえでだ、先生の方を見てこう問うた。
「今からあそこに行っていいよな」
「あの、自己紹介は」
「名前は言っただろ」
やはりぶっきらぼうな調子でだ、薊は先生に言った。
「それで充分じゃないのか」
「充分じゃないと思うけれど」
「あたしにとっては充分なんだよ」
いささか睨む様な感じるの目だった。
「だからいいんだよ」
「そうなんだ」
「そういうことだから。宜しくな」
薊はクラスの面々に顔を向けてまた言った。
「それじゃあな」
「えっ、名前言っただけ!?
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