暁 〜小説投稿サイト〜
SAO 〜冷厳なる槍使い〜
SAO編
序章  はじまりの街にて
2.変わる世界
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のは誇張しすぎだとは思うが。

 この世界では、俺は《キリュウ》となって行動しなければならない。
 俺としては、ややこしいので本名を使おうと思ったのだが、二木にそれは色々とリスクがあるから止めておけと言われたのでこの名にしたのだ。

 現在、俺がいる場所。
 SAOの舞台となる浮遊城《アインクラッド》の第一層にある主街区《はじまりの街》というらしい。
 ここから第百層を目指すことが、このゲームの目的だという。
 俺はおもむろに上空を仰ぎ、左手をかざした。

「…………手が、届きそうだな。だがそれでも高い……か」

 第一層から第二層の底面までの距離が100mだという。
 手が届きそうで、でもやはり簡単には届かない距離。
 ここから見えるあの場所を目指すだけでも相当な苦労を強いられることは想像に難くなかった。
 それが、百層まで。
 途方も無いと思えるその道のり。だが俺は、自分が少しだけだが高揚していることに気付いていた。









「――ハッ、ハッ、ハッ……」

《はじまりの街》を、俺は走って見回っていた。
 仮想体(アバター)は、現実の自分と全く同じ体型といっても、その機能には大きく違いがあった。
 少し全力で走るだけでも息は上がるし、握力も腕力も脚力も、自分とは思えないほどに低かった。
 だからこそ俺は、まずこの体に慣れるために、そしてこの街のことを知るために、走りながら街並みを見ていた。

 街の通りは基本的に石畳が敷き詰められ、家もレンガや木造の西洋風のものが多い。
 中世西洋風モデルの街なのだと思われる。
 しかし、街の中央の広場から見える《黒鉄宮》と呼ばれるその名の通りに黒い金属質の城は、周りの暖かな街並みの中、この場所だけひんやりとした雰囲気を感じられた。

 二木から聞いた話によれば、この《はじまりの街》は、浮遊城《アインクラッド》で一番の広さを誇るの街なのだと言う。
 たった三時間くらいでは、四分の一も回ることが出来なかった。
 しかし、当初の目的であるこの世界での自分の体を知ることは達成できた。
 武器屋や道具屋、宿屋に軽食屋などもいくつか記憶した。
 後は実際に剣を、いや俺の場合は槍を振って調整するだけだ。
 そう思った俺が次に行ったのは――食事をとることだった。
 中央広場に出ている屋台から、焼き鳥のようなものを買う。
《スウェルトードの串焼き》は、正に焼き鳥のような味と歯応えだった。
 名前を見れば鶏とは違うことは解るのだが、この際材料には気にしない。
 美味かったので、もう一本買って食べながら、俺は今いるこの世界のことを考えていた。
 現実の自分の体とは違うが、意識すれば指の一本一本まで別々に動かせること、関節が曲がるのは一方
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