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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
戦王の使者篇
06.戦王の使者
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遅刻しないで来るなんて」

 彼女の隣には、大きなスポーツバッグが投げ出されていた。

「浅葱? なんだその荷物?」

 古城が、上履きに履き替えながら訊く。
 浅葱は、そんな古城を見上げてニヤリと笑みを浮かべる。

「ちょうどいいところに来てもらっちゃって、悪いわね。意外に重くて面倒だったのよ」

「運んでやるなんてひと言も言ってねえぞ。それに彩斗もいんだろうが」

「やー、ホント助かるわ。ロッカーの前に置いといてくれたらいいからさ」

 ささやかな古城の反論を無視して、浅葱が指示を出す。
 そういうことだ、と彩斗は目で古城に言ってから二人の時間を邪魔しまいと一人足早に教室へと入った。
 彩斗が教室に入るとクラスの半数くらいが一斉に振り返り彩斗を見た。

「な、なんだよ」

 すると教卓近くにいた短髪のツンツンに逆立てた軽薄そうな雰囲気の男子生徒、矢瀬基樹が近づいてくる。

「いや、ちょうど決まってなかった種目の適任が来たからよ」

 矢瀬はそう言いながら背後の黒板を指す。
 そこには、球技大会の参加種目とクラスメイトたちの名前が几帳面な文字で書かれていた。
 そのほとんどがクラスメイトたちの独断と偏見で決められたらしい。
 黒板から”彩斗”と書かれた名前を探してみると見つけた。

「まぁ、俺はなんでもいいけどよ。いちよう確認ぐらいとれよな、矢瀬」

「まあ、いいだろ。俺とお前の仲だろ」

 矢瀬は、いつもの調子のようだ。

「テニスか……」

 球技大会で彩斗が選ばれた競技は、テニス。いやではなかったが少し複雑な気分になる彩斗だった。
 彩斗の後に教室に入ってきた古城と浅葱は、矢瀬の策略により、バドミントンの男女混合ダブルスに出場されられることになった。

 それがどうであれ、無気力な吸血鬼にはさほど関係ないことだったのはいうまでもない。




 授業後にクラスメイトたちは各々の種目の練習を行うために運動場や体育館へと散って行く。
 その中には、帰路につく者もいてそれに乗ってこっそりと帰ろうとしたところを矢瀬に見つかり彩斗も嫌々テニスコートへと向かうのだった。

 陽射しが肌を刺す。気合いに満ちたような声がコートから響く。
 どうやらテニスは案外、ガチで決めたようなメンバーばかりが揃っている。

「はぁ……熱い……」

 顔を守るため手をサンバイザーのようにし、陽射しの殺人光線を防ぐ。

「───ッ!」

 身体がビクリっと震える。
 ジリジリという感覚が肌を伝う。それは魔力の反応だ。

「どうした、緒河?」

 クラスの男子が急に動いた彩斗に反応する。

「悪りぃ、ちょっと抜ける!」

 男子の静止を無視して彩斗は
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