第一章
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第一章
星屑のステージ
どうしてこんなことになっちまったのか。俺にはわからなかった。
「なあ」
仲間達が俺に声をかけてくれる。だがそれに何も言えなかった。
「気を落とすなよ」
「気持ちはわかるからよ」
「ああ」
俺はそれに頷く。けれどそれに返すことは完全には無理だった。
「じゃあ行くか」
「時間だぜ」
「わかってるさ」
それにまた頷く。もう皆ステージ衣装を着ている。俺もそれは同じだ。
「なあ」
リーダーが俺に声をかけてきた。
「今日のステージな」
「今日のか」
「あの娘の為に歌えよ」
「いいのか、それで」
俺は声だけでリーダーに問い返した。
「ファンの為じゃなくてうお。いつも御前が言ってるみたいにじゃなくて」
「今日はいいさ」
だがリーダーはそれを許してくれた。
「その分は俺がやるから」
「そうか」
「ああ、任せろ」
「俺もだ」
「俺も」
他の仲間達もそれに続いてくれた。
「ファンには俺達が音楽を聴かせる。だから御前は」
「今日だけは。あの娘の為にな」
「済まない」
「いや、いいさ」
リーダーだけじゃなかった。皆こう言ってくれた。それも俺には凄く嬉しかった。
「今日だけはな」
「ああ、あの娘の為に。歌えよ」
「わかった。それじゃあ」
俺はそれに応えて頷いた。
ステージに向かう。あの娘の為に。
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