五 砂上の少年
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を砂の圧力で押し潰す。潰された相手はまるで花火を打ち上げたように真っ赤な花を咲かせた。
今まさに起こった殺戮を見てしまった三人の木ノ葉の忍びは、どくどくと動悸する心臓の音を更に激しくさせる。
ゆっくりとこちらへ歩みを進める我愛羅。
彼から一刻も早く離れなければ、と脳裏では理解しつつも恐怖により硬直してしまった三人。
逃げなければ逃げなければと焦燥感ばかりが募る彼らの耳に、第三者の声が割って入ってきた。
「待て」
我愛羅の背後から涼しげな声が掛けられた。茂みからゆっくりと現れたのは、薄手の白い着物を着こなした白髪の少年。
「お前は……」
訝しげに眉根を寄せる我愛羅に代わり、彼の姉であるテマリが目を丸くする。
音も無く静かに我愛羅達の傍までやって来た白髪の少年は音隠れの忍び――君麻呂だった。
「あまり無闇に殺戮するな。砂隠れ」
血の海と化しているこの場を見ても泰然自若な態度を崩さず、彼は我愛羅に咎めるような言葉を投げる。
「…俺に…指図するな」
君麻呂の態度に気を悪くした我愛羅は目を細めた。静まり掛けていた砂が再びザワザワと宙を舞い始める。
「おいおい、我愛羅。音はまずいって」
「我愛羅!」
ぎょっと身体を強張らせたカンクロウとテマリが慌てて諫めるが、我愛羅は射殺すような視線で彼を睨み続けた。茂みにて身を潜めている木の葉の下忍達は皆、今にも戦闘が始まりそうな成り行きに戦慄する。
そんな中で、君麻呂はやれやれといった風情で肩を竦めた。
「あの方の仰った通り、君は情緒不安定だね。呆れるよ」
「なんだと……」
「あの方…?」
熱り立つ弟に怯えながらも、カンクロウとテマリは君麻呂の言葉に疑問を抱く。彼らの眼には、その言葉を口にした際に君麻呂の表情が若干やわらかくなったかのように映った。けれど直後に彼はまるで能面のような感情の窺えない無表情で話し出す。
「君達には関係ない。巻物が揃ったのなら早く行け」
有無を言わせない君麻呂の言葉に、我愛羅の堪忍袋の緒が切れた。
「貴ッ様ァ!!」
砂が君麻呂の足に絡みつく。それを見たカンクロウとテマリから血の気が引いた。
「やめろ、我愛羅!!」
姉兄の制止の声を振り切り、我愛羅は先ほど雨隠れの下忍三人を殺したものと同じ忍術を発動させる。
「【砂縛柩】……―――――【砂瀑送葬】!!」
しかしながら真っ赤な花火や血の雨を降らせた雨隠れの時とは反して、今度は何も起こらなかった。砂の柩には誰も入っていなかったのだ。
「なに!?」
テマリとカンクロウ、そして術を発動させた本人までも驚くなか、涼しげな声が辺りに響く。
「僕には勝てないよ、砂瀑の我愛羅」
何時の間にか我愛羅の後ろに立っていた君麻呂が見下したように笑ってい
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