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乱世の確率事象改変
白馬長史の友達
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す事は無いがそれでも異常なほど。
 昨日も俺の仕事が早く終わったのを見て最近出来た新しい店に連れて行かれた。
 そのように毎日付き合わされて幽州に来るまでに貯めた金は、悲しい事に半分まで減っていたりする。
 ただおもしろい事があった。昨日行った店で星と口論になった時にある店の店主と仲良くなり、俺が知ってる日本の料理を教えたらタダでメシを食っていいと言われた。
 つまり彼女の言いたい事は、仕事も無いしタダ酒にありつきたい、という事。
「昨日の今日じゃさすがに悪いだろうよ」
「いやいや、こういうのは早い方が良いモノで、時機を見失っては店主の厚意を無駄にし、礼を失していると取られるでしょう」
 日々共に過ごしていて思ったが、ひらりひらりと自分の意見を通すために誘導する彼女は、会話の仕方は違えどもどこか俺と似たように感じる。
 本質的な部分で俺と同じなのかもしれない。
 素直になれず、回りくどく、自身の言いたい事、伝えたい事を誤魔化しながら飄々とした態度と曖昧な言葉で表現する彼女は、人への気遣いを忘れる事も無く、きちんとした自身の基準線を余程の事が無い限り踏み越えはしない。
 曖昧で誤魔化しを多く使う所が俺と星の似通った部分だとして、星の意思を汲み取るのが苦手な愛紗からは結構冷たい目で見られたりしている。
「しかしな、星。まだ昼も下がり始めたばかりだ。何があるか分からんだろうに」
「だからこそ、ですよ。先に行動しておけば面倒事を押し付けられる事もありますまい」
「一理あるが……ほら、うちには怖い怖い鬼がいるから」
 言うと彼女は目を丸くして、次に腹を抱えて大笑いしだした。
 俺達の頭に描かれる人物は一人の厳しい人。前に昼間から飲んでいたらこんこんと数時間にも渡り説教された。
「あはは! 確かにとばっちりを喰らうのも面倒ですな。愛紗は今日私達が共にいる事を知っておりますし、二度目ともなるとさすがに私も怒られる」
「だろう? なら今日は容赦してくれ。そうだな、公孫賛殿への献策が上手く行ったら祝いの席として使わせて貰うってのはどうだ?それなら気兼ねなく飲めるだろ」
「おお、それは名案。時機については天才と謳われる二人の少女の力量に期待ということで」
 ここらが落としどころととったのか星も納得し、タダ酒が飲めるので上機嫌になった。
 それから他愛ない会話を繰り返し、笑い合っていると俺達の元に朱里が近づいて来た。
「し、秋斗さん。献策する書簡が纏まったので明日、公孫賛様への謁見をお願いします。それと、申し訳ないのですが桃香様が公孫賛様にその事を伝えに行っておられますので代わりに今日の仕事をお願いしてもいいですか?」
「分かった。すぐに向かうから先に行っててくれ」
 俺の返答を聞いて朱里はすぐさま踵を返して桃香に与えられている執務室
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