話数その4 進めない
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時刻は深夜。
人の姿どころか気配すら殆ど無くなり、不気味なほど静かな今日日、もうかなり前に捨てられた廃工場へと、足を進める者達が居た。
「そんなに緊張しなくても大丈夫よ、イッセー。今回は見ているだけでいいから」
「は、はい!」
赤い髪をした女が、傍に居る黒髪の少年へ、落ち着かせるように話しかける。話しかけられた少年は、歩きながら気を付けをするという、少し笑える格好で答える。
彼らの他にも、白い髪の小さな女の子、優しそうな顔の少年、少年とはまた違う黒髪の女が、赤い髪の女を囲むように歩いていた。
「どう小猫、感じる?」
「感じます……血の臭いもします」
小猫と呼ばれた白髪の少女の言葉で、黒髪の少年以外の表情が引き締まる。
「イッセー、よく見ておきなさい……悪魔の戦いと、使えるべき主に叛いた“はぐれ”のなれの果てを」
そう言い終わると同時に、廃工場の中から轟音と悲鳴のような物が聞こえる。
「もしかしたら人間が襲われているのかもしれないわ! 急ぐわよ!」
「「「はい!!」」」
「は、はいっ!」
彼等は速度を速め、廃工場へと急ぐ。そのスピードは、人間の物とは大きくかけ離れた、人外的と呼べるものだった。
しかし、廃工場へと近づくにつれ、聞こえる悲鳴が明らかにおかしい事に気付く。
『―――ァァァ!?』
「―――?」
聞こえている悲鳴は、明らかに化け物のような響きを持つおどろおどろしいモノなのに対し、優勢だと思われるもう片方の声は人間の物だったからだ。
「何が起こっているんでしょう……?」
「分からないわ、だから皆用心しておいて」
それぞれが頷いたのを確認した赤髪の女は、奇怪な声の聞こえる廃工場へと視線を向ける。
―――――その途端
『嫌だ……嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ、もう嫌だぁァァァ!!?』
廃工場の扉が壊され、中から異形の化け物が飛び出して来た。しかし、化け物は恐怖に顔をゆがませ、おまけに体もボロボロで、とてもじゃないが戦える状態には見えない。 その様子に驚く彼女達だったが、その後から出てきた人物を見て……驚愕のあまり声が出なくなった。
「あのなぁ……まだ350もいってないんだぜ? ……それによ、上半身は女で下半身が訳分からん化け物のお前が、こんな人間如き怖がる必要ないだろ? 大体、勝負ふっ掛けてきたのはお前だろうに」
『あああ………来るな来るな来るな来るな来るな来るなぁ!!?』
「……ったく、食っても死ななかったからって、此処まで怖がるか普通? ……なぁ、そう思うだろ? あんたらも」
―――その人物は、上半身の左側が欠けているにも
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