暁 〜小説投稿サイト〜
大人の階段登る君はビアンカ……
惜しむべき故郷、新たなる人生
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
<アルカパ>


アルカパを出て行く事が決まってから2週間が過ぎた……
町長さんが色々手伝ってくれたので、宿屋の売却もスムーズに行われた……らしい。(お父さん達の話を盗み聞きしたらそう言っていた)
急いで売却の手続きをしたので、私はこの宿屋の新しい持ち主の顔を知りません。
良い人だといいなぁ……
大切に使ってくれると嬉しいなぁ……

更に1週間が経ち、私達がアルカパを出て行くのも来週へと迫る。
そんな日の夕方に、町長さんが血相を変えて訪れた……とんでもない情報と共に!
何とラインハット国王のグレック陛下がお亡くなりになったそうだ。

ヘンリー殿下が行方不明になり、ショックで病気になってしまい、そのまま息を引き取ったと言う…
そしてヘンリー殿下の弟のデール殿下が王様になった。
と言っても、まだ5歳の子に王様なんて出来る訳無い。
実質、デール陛下のお母さんが権力を握っているのだとお父さん達は言っている。

更にお父さんは凄い事を言い出した!
「もしかしたらヘンリー殿下を攫わせたのは、太后なのでは……? それをパパスに擦り付け、そしてグレック陛下までも殺したのでは……?」
とんでもない事を言うお父さん……

町長さんは青くなり、私達しか居ないのに周りを見回し体を小さくする……
それ程大声だったワケでもないし、私達以外の人に聞かれる事はないのだが、それでも恐怖から周囲を警戒してしまう町長さん……

「め、滅多な事を言うもんじゃないぞ! どこで誰が聞いているか……」
その通りだ……こんな事を誰かが聞いていたら大変な事になる!
事実で無ければ不敬罪で処刑されるし、事実であれば尚危険だ!
そんな事をする連中が、放っておくとは思えない……口封じをするに決まっているわ!
もしかして……リュカもパパスおじさまも、その事を知ってしまったから殺されちゃったのでは!?

気付くと私は涙を流していた…
お母さんが私を優しく抱き締め元気づけてくれる……
泣いちゃダメだ!
私はリュカを助けるんだから!
絶対リュカは生きているんだから!!




私は宿屋の屋上からアルカパの町を眺めている……
既にお日様が地平線の僅か上にある夕暮れ時に、色々な思い出の詰まったアルカパの町にお別れをしている。

今夜、誰にも見つからない様にアルカパを出て行く事になった私達……
昼間に町長さんから連絡があったのだ。
サンタローズの村にラインハット兵が押し寄せ、村を滅ぼしたと……

理由はヘンリー殿下を誘拐したパパスおじさまの捜索。
でも村全体で秘匿したから、反逆罪で処刑したのだという……
私は怒りや悲しみでおかしくなりそうだ!
絶対にあり得ない事だが、あえてパパスおじさまがヘンリー殿下を誘拐したと仮定しても、サン
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ