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大人の階段登る君はビアンカ……
淡い恋、悲しい別れ
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私は此処で……アルカパで、リュカとパパスおじさまが悪いヤツをやっつけて、また私に逢いに来てくれる事を期待していた……
でも、それも出来そうにない。

私達は、慣れ親しんだこの町を捨て、別の土地で身を潜めて生きて行かねばならないのだ……
リュカに逢いたい……直ぐに逢えると思っていた……
でも、もう逢えないのだ。
町長さんが席を立ち、帰ろうとこちらに近付いてくるのが見えた。
慌てて私は自分の部屋へと逃げる……そして枕に顔を埋め、声が漏れない様に泣き出した。
もうリュカに逢えない……もうアルパカに帰れない……
何もかも失った気がして、何もかも不幸に思えて……
私は泣く事しか出来なかったのだ。

気が付くと私の隣にお母さんが居た。
何時の間に入ったのか、ベッドに腰掛け私を見つめていた……
「ビアンカ…聞いていたのね……」
私は顔を上げると、涙が止まらない状態のまま黙って頷いた。

「そう……じゃぁ良く聞きなさい。この事で泣くのは今日で最後にしなさい! アルカパを離れる事は悲しいわ……リュカ達に逢えなくなる事も凄く悲しいわ……でもね、その事を悲しみ不幸だと泣く事は、リュカやパパスが誘拐犯だと認めるのと同じ事なのよ!」
私はお母さんの言葉に驚き目を見張る!

「お母さんはね……リュカもパパスも犯人では無いと思っている。むしろ犯人を追いかけて、何らかの罠に嵌ったのだと考えているわ! でもね、あのパパスの事だから、きっと何時の日か本当の犯人を捕まえ、自らの名誉を回復し、私達の前に姿を現すはずよ! ビアンカ……貴女が本当にリュカの事を好きなのなら、全世界がリュカの敵になっても、貴女だけは味方で居続けなさい!」

大好きなリュカの為に……そうよ!
リュカもパパスおじさまも、そんな事をする人じゃないわ!
私が信じないでどうするの!
私は顔を上げ、溢れ出る涙を何度も拭い、お母さんを見つめ大きく頷いた。
リュカは何時の日か必ず私の前に現れてくれる……
アルカパから出て行かなければならないのは悲しいけど、それはリュカの所為じゃ無いわ……
これ以上悲しんだら、リュカは自分の所為だと苦しんでしまう。

私はもう一度涙を拭い、お母さんに抱き付いた。
泣く為では無い……お母さんに勇気を貰う為に。
今はまだ無理だけど、もっと魔法の勉強をして、私からリュカ達を探しに行ける様になろう……
リュカやパパスおじさまを信じる……でも待つつもりは無いわ!
私が彼等を助けるの!
必ず助けてみせる!

そして私はリュカと……




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