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豹頭王異伝
暁闇
指導者の帰還
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 グインは黒竜騎士団、金犬騎士団、竜の歯部隊を束ね神聖パロ勢力圏を疾走。
 ゴーラ軍が立ち往生する間に秀逸な機動力を発揮、サラミス街道を駆け抜ける。
 ワルスタット選帝侯ディモス統率の部隊は機動力に劣る為、エルファに待機。
 マルガに総勢2万1千の精鋭、ケイロニア軍の勇者達が到達し盛大な歓迎を受けた。

(グラチウスが新生ゴーラ軍を操り、マルガで虐殺を引き起こさんと企んでいたがな。
 草原の鷹を手助けして来た、ゴーラ軍は導き手を見失い動きが取れぬ。
 マルガへ王が先に入り軍を展開すれば、パロの民を虐殺する事は出来ぬだろう)
 グインの脳裏に、イェライシャの遠隔心話が響く。
「礼を言うぞ、イェライシャ」
 イシュトヴァーンを出し抜き、マルガ北方の街道を抑えた豹頭王は簡潔な思考を閃かせた。

(リー・レン・レン達を護ってやれ、と王は言っておったが大丈夫か?
 グル・ヌーの星船に棲む《種子》の紡ぐ思考、強力な念波は北の賢者も理解不能であったそうだが。
 一千年の齢を数える見者ロカンドラスも遥かに及ばず、推し測る事も出来ぬ代物と驚嘆しておった。
 王も紅蓮の島にて《超越者の種子》を実見の際、力《パワー》の一端は感じ取ったと思うが。
 ノスフェラスの怨念を喰らい、糧として成長を遂げた魔王子とやらも《種子》の一族。
 グラチウスに足元を掬われるとは思わぬが、竜王の孵化させた《超越者の種子》は難物だぞ)
 大導師アグリッパの意を察し、ヴァレリウスを後援する事となった男が懸念を表明。

「それは分かっているが、何とかする心算だ。
 異世界の魔道は初見参だが魔界の剣、スナフキンの贈物に加え古代機械もある。
 闇の司祭に及ばぬとは言え、ヴァレリウス以下の魔道師達もいる。
 竜王が狙う標的《ターゲット》、リー・レン・レン達が心配だ。
 全土反乱に至る可能性の芽、キタイの明日を担うであろう若者達に万一の事があってはならぬ。
 独立運動を起こせ、と彼等に焚き付けたのは他ならぬ此の俺なのだからな」

(わかったよ、律義な王じゃな。
 ユー・メイが一緒に連れて行ってほしいと言っとるが、どうするかね)
「キタイへ戻るのは危険だと思うが、本人の希望であれば致し方あるまい」
(王の希望とあれば容れぬ訳には行かぬ、了解したよ。
 それじゃ、行って来るよ)
 ドールに追われる男、イェライシャは【笑】の感情記号を遺し閉じた空間の中に消えた。

 闇の司祭は己の操り人形として使う為、ゴーラ王に施された後催眠を入念に解析。
 竜王の催眠暗示命令は解除せず、己の意図に沿った形で利用を図る。
(ヤンダル・ゾックめが、余計な手出しをしおって!
 だが奴めも1〜2年は中原へ手出しする余裕は無い、と踏んでおる様だな。
 マルガなど何時でも
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