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黒い烏が羽ばたく魔世に
第零章 「グレン・ポッターと魔法の世界」〜Glen Potter and The Wizarding World〜
3話 At last, it comes today. 「ついに、それは訪れる」
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めに死をも恐れずに戦っているのだ。母が命がけで頑張っているのに、オレがクローゼットの中で守られながら、泣くのを我慢することすら出来ないなんて情けない。だが、しばらくしてオレの中にある恐怖は徐々に膨らんできた。


原作では、ハリーの両親は死んでしまう。それも、その時はジェームズも家に居たのに2人はヴォルデモートに殺されてしまうのだ。そして今回、父は家には居なかった。つまり、原作よりもさらに状況は絶望的で、母が生き残る可能性は低いということだ。

そして原作ともう一つ異なることは、おそらくクローゼットにかかっている魔法は、母の死によって効果が切れるということだ。母が死んでしまったら、敵は間違いなくオレを探し始めるだろう。そして防衛の魔法が消えてしまったクローゼットは、たとえオレが物音を立てなくても開けられてしまうのは時間の問題である。

さらには、原作でハリーが生き残った理由である「護りの魔法」がオレにも有効かどうかも問題だ。原作とこれほど相違点があるということは、「護りの魔法」がオレに宿る保障も確かではない。母がオレを愛しているということは紛れもない事実ではあるが、原作とは状況が異なるのだ。

このままでは明らかに詰む。ヴォルデモートにオレがクローゼットに隠れていることが見つかり次第、殺されてしまう。生まれてまだ1年しか経っていないのに、このまま死ぬのなんて嫌だ。一度はホグワーツにだって行きたいし、魔法が出来たらやりたいことだってたくさんあるのだ。


そしてオレが煩悶しているうちに、突然クローゼットの扉が外側から破壊された。驚きで心臓が一瞬止まった後、すぐにまた跳ねるように高速で高鳴り出した。真っ暗闇に慣れた目がオレの視界を塞ごうとするが、オレは必死に抗って目を見開き、クローゼットの外を見た。

そこに居たのはヴォルデモートではなく、黒いフード付きのローブを着て仮面を付けた死喰い人だろう人物が2人と、そして床には、暴れた後のように髪が服が乱れ、目を見開いたまま横たわって動かない母が―――



―――オレは、意識を飛ばした。


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