暁 〜小説投稿サイト〜
問題児たちが異世界から来るそうですよ?  〜無形物を統べるもの〜
A CAPTIVE TITANIA D
[1/3]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「一輝さん。そこにはなんと?どうしたら音央ちゃんを解放できるのですか? 」

鳴央が少し興奮した様子でそう聞いてくる。
無理もない、妹を解放できるかもしれないのだから。

そんな鳴央に一輝は何も言わず羊皮紙を二人が読める位置に持っていく。

二人は驚いた顔をしていたが、次の瞬間同時に一輝に言った。

「一輝さん、私を殺して、音央ちゃんを開放してください。」
「一輝、私を殺して、鳴央を開放して。」

二人は顔を見合わせると、言い争いを始める。

「なに言ってるの、鳴央!」
「音央ちゃんこそなに言ってるんですか!」
「私は、私よりもあんたが生きるべきだから!」
「いえ、音央ちゃんが生きるべきです。だから、私が消えます。」
「だめよ!私は、自分が死んでも鳴央にいきてほしいの!」
「それは私も同じです!音央ちゃんに生きて欲しいんです!」

お互いに、自分よりも相手が生きるべきだと譲らない二人、普通に考えればお互いのことを思っているいい姉妹なのだが、一輝は怒りに震えていた。

「だから、音央ちゃんが・・・!」
「鳴央のほうこそ・・・!」
「うるさい!良いからそのくだらない話をやめろ!!」

一輝がキレた、ブチギレだ。
急に大声で怒鳴ってきた一輝に一瞬ビクッとなる二人だが、

「くだらないって・・・どこがくだらないのよ!」
「そうです。大切なことを話してるんですから、関係のない一輝さんは口を出さないでください!」

二人の矛先が一輝に向くが、一輝は一切ためらわずに、

「その、自己犠牲と自己満足で相手のことを考えてない会話がくだらねぇっつってんだ!少しは相手のことを考えろ!」
そう怒鳴り散らす。

そして、このことに二人が反応しないわけもなく、
「考えてるわよ!だから鳴央が生きるべきだって・・・!」
「考えてます!だからこそ、音央ちゃんが生きるべきだと・・・!」
二人そろって怒鳴り返す。

「考えてるって?自分が犠牲になって大切な人を生き残らせることがかよ!そんな選択肢が考えた結果だってのか!」
「ええそうよ!そうすれば自分の大切な人は生き残れる!」
「そのためならこの命くらい・・・!」
「じゃあ聞くが、お前らがそんなことをされて嬉しいか?違うだろ!ふざけるなって思うだろ!」
「そ、それは・・・」
「そうかもしれませんが・・・」
「それにな!今回の場合、そのために自分の大切な人が死ぬんじゃなくて、殺されるんだ!その意味が解ってんのか!」
「「・・・・・・」」

二人が、何も言わないので一樹は言葉を続ける。

「少なくとも俺の中には、自分のために命を懸けてくれた人の分も生きようなんて感情はわかなかった。あったのは勝手に決めんなって怒りと、俺の家族を、父さんを殺したや
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ