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不可能男との約束
妖精の国
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浅間は走っていた。
走っている理由は何かと問われれば別にないのだが、何となく心情的に小走りしてしているのである。
ただまぁ、やっぱり長くと言えば大袈裟かもしれないが、離れていた友人と会いたいと思うのである。
今は輸送艦の甲板上におり折艦作業をしている最中である。
お互いの艦を結ぶのは太縄であったので、少し足場が不安定であったから多少恐怖があったが、元々武蔵自体が高所にあるのでそこまで不安はなかった。
途中、何人か落ちていたが多分大丈夫だろう。何せ落ちて行っているくせにポーズをとる余裕があったのだからきっと大丈夫だろう。頭は大丈夫ではないと思うが。
そしてきょろきょろと探している内に目当ての数人がいた。

「ミト! 正純! 無事で───」

したか、と続けようとした先に新たな人物がそこに降りてきた。
先程トーリ君を水中に叩き落とした馬鹿。
シュウ君である。






「……ぬ?」

感動の再開シーンになると思いきや、何故か智が俺を見た瞬間に動きも声も止めた。
はて、止める要素などあったかと思い、推理してみる。
1,俺がいきなり上から降りてきたから
別に武蔵では上からいきなりあらわれるのは珍しいことではない。どこぞの腐った魔女や姉好き半竜がクラスメイトにいるのだから智がそこまで驚く必要はない。
2,実はここで正純とネイトにだけ話しておきたい事柄があった。
皆無とまではいかないが、幾らなんでも再会していきなりそんな無粋なことを智は言い……そうではあるが副長である自分に隠すようなこととなるとプライベートの話だから女心を察する秘奥義を習得しなければ理解不能。
3,それ以外。
考えてみると意外にあるっぽいからどれだ、と思う。
そこまで考えていや待て、と思った。

……もしかして三番か!?

三番。つまりそれ以外。それに俺はこういう推論を入れる。

……俺に何らかのロマンスアクションをしようと思い悩んでいるんだな……!?

成程、再会の抱き合いなどというのはとてもいいシチュエーションである。
それを狙ってくるとは流石智である。
だが、智はかなりの恥ずかしがり屋なので今、躊躇っているのであろう。人目もあるし、ましてやクラスメイトの前でと思っているのだろう。
ならば、自分から抱きつきに行くか? いや、しかしそれは智の勇気を無視する行いになるだろう。
せっかく彼女が悩んでいるのに俺の好意でそれを無駄にするのはちと駄目であろう。
となると、どうすればいいと考える。
彼女の勇気を無駄にせず、かつ彼女の助けになるような行動。
一瞬だが、永遠を感じるような思考の中で、遂に答えを見つけ出した。これだ、と。そしてすぐさま実行に移した
膝を軽く曲げ、前方から来るであるちょっとした衝撃の耐ショック体勢。
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