暁 〜小説投稿サイト〜
Tales Of The Abyss 〜Another story〜
#0 始まりを告げる声
[1/2]

[1] 最後 [2]次話

 もう、いったいどのくらい時間が経っただろうか。
 何度考えても、考えても、判らない。

――……何も思い出せない。

 唯、感じるのは、目の前に広がる無限の闇。一体何処まで続いているのか、検討すらつかない。そして……自分自身が何故、この世界に存在しているのかさえ、判らない。

「ここは…どこ……? いったい……なに……?」

 闇の中で、意識が覚醒し、考える。でも、何を考えても判らない。どれだけの時間が経ったのかさえ、判らない。時間と言う概念が存在しているのかさえも。

――……これが、永遠に続くのかな? 恐怖の類は何もないけれど、続く闇の世界を眺めながら、そう思っていると。


《アル……我が……えるか………》


 闇の中で確かに聞こえてきた。初めての自分以外の存在の気配。この世界には自分以外誰か・・がいる。

「………誰?」

 声が聞こえてきて、誰かがいる事に気づいた彼は、語りかける様に闇に向かって聞いていた。返事が返ってくるのか少し不安だったけど、それは直ぐに帰ってきた。

《我が名は……主の名は、アル…》

 その声は途切れ途切れだが、返事は帰ってきた。聞こえてくる言葉の中に、名前と思しき単語も聞こえてくる。《アル》と言うそれが自分の名だろうか?その名前を頭の中、脳裏に刻みつけながら、……口に出す。

「………な、まえが、……なは、ある…? それが、じぶんの……?」

 自身の名前を、発し そして どれだけ思い返しても、……名前を聞いてもやはり自分のことは全く思い出せなかった。

《そう、か……今……、まだ…覚…では…無い…か…… 後……》

 考え込んでいる最中、自分の胸中を悟ったかの様に、再びあの声が聞えてきた。聞こえてきた、と言うよりは 頭の中に直接流れ込んでくる感覚に近い事が判った。

《我が…よ… 力の…一部を…授け……、この……生きぬいて…… 世界…オールドランド……覚醒………》

 流れ込んでくる声は、必ずと言っていいほど、途切れ途切れ。おおよその内容の意味すらよく判らない。だからこそ、強い欲求が生まれてきた。

――……知りたいと言う、知識欲が。

「……いったい、なんのこと……? わから、ない。……ここは、いったい……? どういういみ?」

 だからこそ闇の中で、ただただ 答えを求め続けた。

《……今こそ、目覚め……時。……さぁ……へと……目覚めよ!》

 答えは帰ってこず、そして途切れているのにも関わらず、その声の力、大きさが一段と増した気がした次の瞬間。

 闇に包まれていたと思っていた世界に一陣の光が差し込んだ。

 光は、自分の身体を包み込む。……寒いのか、暑いのかさえ判らない。
 突然の光に、眼を背けたくなる
[1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ