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同士との邂逅
十一 氷解
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。むしろ嬉々として加勢する様子が目にとれたナルトは、悲鳴の一つも上げなかった。

その様子に恐怖で声も出ないと思い込んだ忍びは、余裕綽々な顔で印をゆったりとした所作で結び始める。
印を結ぶその指をじっと見られているなど気づかず、彼は術を発動させようとして。逆にその印を瞬時に覚えたナルトから、同じ術をくらった。

流石に元暗部だけの事はある。加えて残虐な性格の男が最も好むその術は、酷く惨いものだった。
男の身体を炎が包み込む。火柱のように高く燃え上がる猛火。燎原之火の如く、勢いのあるソレは瞬く間に男を灰燼に帰す。

何も残さず、声も無く、忍びの男は掻き消えた。


それを間近で呆然と見上げていたナルトは、ようやく己が何をしたか理解し。あまりの事に声が出なくなった。
火影は世話役達の暴力が原因だと思っていたようだが、実際は目の前で人体が発火し、初めて人を殺したという事実がナルトを自閉症に追い詰めたのだ。








思い出すのは、ついさっきまで見ていた記憶の追体験。

幼い時から命を狙われていたナルト。幼い時から道化を被り続けた横島。
強さを隠す故に道化を被るナルト。強くなった故に命を狙われる横島。

外見も成り立ちも生き方も全く違うのに、同一する点の多さ。
(似て、いるのだろうか……)


空になった皿に匙をカタリと置く。その音に反応し皿を見た横島が笑みを深めた。
映像にて垣間見せた苦悩の色が一切見えない彼の笑顔に、思わず眉を顰める。
しかし同時に、人の事言えないなとナルトは内心自嘲した。




「…うずまきナルト…」
「ほへ?」

唐突に口を開く。塩辛さが舌にまだ残っていたが、ナルトは真摯な双眸で横島を見つめた。


「…俺の名前は《うずまきナルト》だ」


気の抜けた声を上げる横島に、淡々と言葉を紡ぐ。暗部名でも異名でもない、自分の本当の名を伝えた。
暫しきょとんとしていた横島は次第に笑顔を浮かべ、ナルトに手を伸ばす。頭を撫でてくるその手を、今度は振り払わなかった。
未だ己の頭を撫でるその手から、長い間感じなかったあたたかさが伝わってくる。

なんとなく、なんとなくだが、三代目火影以外の人間――この男をナルトは信じてみたいとそう感じた。


「…そっか。改めてよろしくな、ナルト…俺は《横島忠夫》だ」




至大至剛な仮面がピシリと罅割れ、傾壊した境目から剥れ落ちた一欠片。
二人の道化師は、この時ようやく初めて歩み寄り、それぞれの歯車がカチリと重なった。

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