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同士との邂逅
二 狐面の子ども
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島は跳び上がった。
声を掛けたのは、屋根の上に平然と立っている先ほどの子ども。相変わらず面はつけたままである。
子どもは割れた窓をちらりと見ると、滑るように部屋に入ってきた。

「お、俺が割ったんじゃないぞ!?石が飛んできて…」
「知ってる」
粉々になった窓の説明をしようと身ぶり手ぶりする横島に、子どもは何の感慨も無く言い放つ。
「…状況を把握する。座れ」
「つーか、なんでそんな冷静なんじゃっ!?」
「いつものことだから」
さらりと答える子どもに、横島は眉を顰めた。
普通石を投げつけられたら困惑、もしくは憤慨するだろう。それを〔いつものこと〕と一蹴する子どもに、どんな生活を送ってるんだ、と横島は心の中で問い詰める。


「…まず、お前の名前は?」
「…よ、横島忠夫だ」
「そうか、よこしまただお…出身はどこだ?」
「お、大阪だけど、今は東京に住んでる」
「おおさか?とうきょう?」
訝しげに首を傾げた子どもに向かって、横島はつっこみたくてうずうずしていたことをマシンガントークにて実行した。

「……つーか、お前の名前は!?ココどこ!?さっきのじいさんは何者!?ってかお前が何者!?とか言いたいことは一杯だけど、なによりそれより…………………………面をとれッッッッ!!!!」
「うるさい黙れ静かにしろ質問は一つに絞れ」
思わず立ち上がった横島を、じろりと見上げて子どもは口を開いた。

「…ココは木ノ葉の里と呼ばれる、いわば忍の隠れ里。そしてこの部屋は俺の家。さっきのじじいは、この里で一番偉い火影という里長……そして俺、はこの里における火影直属の忍者部隊―暗殺戦術特殊部隊、通称暗部の総隊長を務める〔月代〕だ。面はお前を信用していないからとらない」
一切顔色変えず答える子どもに、(ただ者じゃねえ…ッ)と横島はごくり、生唾を飲み込んだ。


「…つーか、暗殺!?暗部、総隊長って………お前子どもじゃねえかッ!?」
「それがどうした?」
心底不思議そうに子どもは横島を見上げる。未だ面はつけたままだが、その奥に蒼色の瞳が窺えた。
「暗殺って…人殺すんだろ!?お前…」
そこまで言って、横島はこの子どもと初対面した時を思い出した。
「じゃ…じゃあ、あの時、お前………」
震える指で子どもを指す横島を、つまらなさそうに見やり。
「…仕事だ」
ただ一言。
そう呟いて子どもは横島から離れ、部屋から出て行こうとする。
「……とにかく今は夜中だ、もう寝ろ。そのベッドを使え」
振り向かずに部屋を出て行く子どもの、流れるような金髪が横島の眼に焼き付いた。


しばし彼は呆然と突っ立っていたが、やることもないので、のろのろとベッドに潜り込む。
悶々と悩む彼の心には、なにか割り切れない思いが渦を巻いていた。
その不
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