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フィデリオ
第二幕その四
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ければならない」
「恩赦ですか」
「そう、暴君の厳格な裁きは陛下の欲されるところではない。無論私も」
「わかりました」
 それを聞くだけでまた顔が青くなる。
「陛下が受けられた神の恩恵を伝える為に私は来たのだということをわかってくれ」
「はい」
「それでだ」
 話そうとするとそこにロッコがやって来た。
「フェルナンド閣下ですか」
「そうだが。そなたは」
「あ、待て」
 ピツァロは彼を呼び止めようとする。
「ここの看守長です。卑しい者ですので御気に召されずに」
「いや、いい」
 フェルナンドはピツァロの言葉を退けた。
「話したいことがあるようだな。まずは名乗ってくれ」
「わかりました。私はここの看守長のロッコと申します」
「うむ」
「閣下に御会いして頂きたい者がいるのですが」
「誰だ?」
「何でもありません」
 ピツァロは必死にそれを妨害しようとする。だがそれは適わなかった。
「待て、私はこの者の話を聞いているのだ。そなたの話ではない」
「しかし」
「そなたの話は後で聞く。今は黙っているがよい」
「クッ・・・・・・」
 彼にとって全ては終わった。だが観念したわけではなかった。

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