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外伝 ドラゴンクエストV 勇者ではないアーベルの冒険
ウエイイ開放作戦での演説
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「それでは、お願いします」
ジンクが目の前にいる、少年に声をかける。
少年は、冒険時の服装の上に深紅のマントを身につけ、頭上に金の冠をのせていた。
どこかの王子様に見えるが、この少年はロマリアの王様である。
「ああ、わかった」
少年は頷くと、立ち上がり、兵達の前に登場する。
目の前の兵士は約1,200人。
首都ロマリアを防衛する部隊である。

ジンクから少年に対して、ウエイイ開放作戦における首都ロマリアの防衛を任せる部隊に対して、演説を要請された。
本来、少年とジンクは作戦開始後速やかに、ウエイイ攻略のため、ルーラにより前線に移動する予定であった。
しかし残された部隊を率いるのが、これまで部隊を指揮したことがない内政大臣マニウスであった。
少年に演説の要請があった背景には、マニウスの小心な性格が災いし、兵士達の士気が下がっているのでなんとかして欲しいとのことだった。
少年は、自分も軍隊を率いた経験がないと言って断ろうとしたが、
「近衛兵総統デキウス閣下から一目置かれているので、兵士達の信頼が厚いので問題ない」
と、ジンクとマニウスから言われて、少年は引き受けるしかなかった。

「くれぐれも、「てきとうにやってくれ」とか「私は戦争が大好きだ」とか、言わないでくれよ」
「・・・。わかっているさ」
少年はジンクからの指摘を適当にあしらうと、兵達の正面にたった。
少年は、あらかじめ用意した内容を基に話し始めた。


「諸君。
今回の戦いは、ウエイイ開放作戦における、ロマリア防衛戦である。
諸君の任務は、来るべきモンスターに対して、ロマリアを守ることである。
今回の戦いは、40年ぶりの奪回作戦である。
これまで、多くの人々が奪回を望み、そのたびにモンスターからの襲撃を受け、挫折した作戦でもある。

戦闘という危険な賭に臨むべきではないという声も聞いた。
私が、国外から就任した王だということで、権力を得るためにしくんだ、無責任な作戦ではないかという声も聞いた。
私のことを影で「口先だけの王」と揶揄するものがいることも知っている。
それらの声に対して、私が答えるのはただ一つである。
私は私がロマリア最後の王にならないために、この作戦を行うと。

この国には、現在様々な問題を抱えている。
貧困の問題、格差の問題、軍事の問題、政治の問題、財政の問題。
多くの問題はそれぞれが難問であるため、すぐに解決出来るわけでは無いことは明らかである。
だからといって、私はそれらの問題から逃げることはしない。
王として与えられた役割に、逃げるという選択肢は始めからないからだ。
私が逃げない限り、ロマリアは王国としての輝きを持ち続けると信じている。

諸君。
私は、諸君を信頼している。
私が先ほど話した問題
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