第4話 そして、勇者(予定)との出会いへ・・・
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俺が勇者を初めて見たのは、8歳のときだった。
勇者という職業は、誰でもなれる訳ではない。
天に選ばれた者だけが、その職業に就くことができる。
勇者の息子だから勇者になれるわけではない。
しかし、勇者の祖先をたどると、たいてい勇者がいたことから、誤解されることが多かった。
ちなみに、勇者になれるかどうかの判断は、アリアハン王家のみが持つ水晶玉で確認することができる。(俺はだめだったようだ。転生前の話なので覚えていないが)
また、勇者の素質を引き出すアイテム(これも水晶玉だ)もアリアハンしか存在しないため、勇者はアリアハンにしか存在しない。
かつて、アリアハンが全世界を支配した名残のひとつだそうだ。
俺とセレンとテルルが外で遊んでいると、3人の少年がひとりの子どもを囲んでいた。
少年たちは12、3歳くらいで、金髪の少年がリーダーのようだ。
「お前、勇者のわりに、弱そうだな」
「何か言えよ!」
「・・・」
勇者と呼ばれた子どもは、少年たちのほうを見つめる。
子どもは僕たちよりも小さく、たぶん5、6歳くらいか。
3人に囲まれているにもかかわらず、子どもの表情は怒るわけでもなく、恐れているわけでもない。
少年たちは子どもの視線に驚き、金髪の少年が服をつかむ。
「勇者のくせに、なまいきだぞ!」
「そうだ!」
「やっちまえ!」
少年たちは、子どもに襲いかかる。
子どもは、くるりとまわり、少年の腕をはなすと、両手で顔を守るような体勢をとった。
子どもは、俊敏な動作で少年たちの打撃をかわしつづけていたが、金髪の少年のパンチが腹にあたると、体勢がくずれて、かがみこんでしまった。
それを見た二人の少年は、子どもを足で蹴り続けていた。
子どもは、依然として両腕で顔をまもるだけで、何も答えない。
「アーベル」
「アーベル、なんとかできない?」
セレンとテルルは声をかける。
俺は転生したとはいえ、8歳の子供。
武芸を身についけているわけでも、魔法を覚えているわけでもない。
もちろん、転生チートによりステータスMAXというわけでもない。
正面から少年に挑めば、返り討ちにあうだろう。
だから、
「・・・、なんとかする」
そういって、俺は少年たちとは反対の方向へ走り出す。
「ア、アーベル?」
「どこに行くの、アーベル!」
俺は、目の前の角に入ると、すぐにもどり大声で叫ぶ。
「へいしさーん!こっちですよ!はやく!」
少年たちはおどろいている。
「!」
「ずらかるぞ」
「今日はこのへんで、かんべんしてやる!」
少年たちは、逃げ出した。
衛兵など、最初からいなかった。
「すごいよ、アーベル」
「さすが、アーベル」
ふたりの少女は喜んでいたが、そん
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