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少女1人>リリカルマジカル
第二十三話 少年期E
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……うん、あれだな。

「……なぁ、コーラル。威力を高めるために身体全体に回転を加えて遠心力出して、さらに受け身をとれるように体制を整えれば連発もできるよな。俺、旋回式とか1度試してみたかったんだ」
『ますたー落ち着いて。さすがにそれはいつもとび蹴りを食らっているマイスターでも……なんか大丈夫な気もしますが、やめてあげましょう。技はちょっと見てみたくもありますが』
「お前も結構ひどいことさらっと言うよな」
『なんだかんだでますたーはやりすぎないでしょ。いつも通り、じゃれる位でしたらいいと思いますけどね』

 お前にとっていつものあれはじゃれる認識だったのか。まぁ、連発はやめておくが。俺はそっと立ち上がり、うつむいていた顔をあげて前を見据える。コーラルが最後の呟きをした時に気づいたからだ。

 噴水公園の入り口。短く切りそろえられた金色の髪と黒で統一された服の上に白衣を羽織った男性。急いで来たのか、一筋、二筋とはらりと髪が額に落ちかかっているようだった。

 妹と同じ赤い瞳と目があった。俺を見つけたその顔からは優しげな笑みが浮かべられる。それを直視してしまい、俺はふいっと顔をそらす。さすがはあの母さんを射止めただけはあるな、イケメンめ。本当に会えてうれしいという雰囲気を笑顔から感じ取り、気恥ずかしさが込み上げてきた。

 ムカムカしていた気持ちは、その笑みに落ち着いてしまった。だけど、このまま普通に再会するのは照れくさい。よし、コーラルにもいつも通りでいいって言われたし、1時間以上も放置プレーされたんだ。俺たちなりの再会の仕方でいいだろう。


「アルヴィン! 久しぶりで……ごはァッ!!」

 転移での空中突撃。背中から見事に入った技は、これまた綺麗にくの字を描かせた。俺と父さんとの1年ぶりの再会はこうして果たされた。



******



「お前はなんで毎回突撃するんだ」
「俺と父さんにとってとび蹴りは、挨拶またはお約束だと思っていたんだけど…」
「待て、アルヴィン! その認識は色々おかしいと思うんだがッ!?」

 時間にルーズというか、生活面全般が横着な父さんに普通を諭されましても。昔は母さんが調きょ…、いやいや注意をしてましになっていたのに再発しているな。感覚がずれているというか、熱中すると一直線になる癖は本当に相変わらずのようだ。

「で、遅刻はやっぱり仕事?」
「うっ、すまない。ちょっとと思っていたら、つい…」
『ますたーの「つい」の癖は間違いなくマイスターの血ですよね』

 コーラルの独り言には一切触れず、俺は父さんとの会話を楽しんでいた。俺にとって父さんは、肩に力を入れずに話せる数少ない人だ。

 母さんやアリシアは異性だし、俺にとって守るべき存在である。この考え方が
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