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マノン=レスコー
第一幕その六
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ューの若い美貌にも心奪われていた。もう全ては決まってしまっていた。
「微笑んで下さるんですね」
「はい」
 マノンは微笑を浮かべて彼に言う。その顔をじっと見上げている。
「貴方の目に」
「何と有り難い御言葉。その御言葉を受けて僕は」
「貴方は」
「貴女を愛したくなりました。いいですか」
「ええ」
 うっとりとした顔で頷く。
「では参りましょう」
「パリへ」
「そうです、パリの街へ」
 彼はマノンにまた語り掛ける。自分達の愛を。だがマノンはそこに別のものを見ていたのである。彼がそれに気付いていないだけであった。
「いいですね」
「はい」
 二人は抱き合う。その頃レスコーは娘達と楽しく飲んでいて気付きはしない。そこにエドモンドが戻ってきた。
「上手くいったぞ」
「何をしたんだい?」
「あの御老人は馬車を頼んでいたんだ」
「うん」
「それを君達の為に手配するように言ったんだ。お金はあの御老人持ちでね」
「じゃあ」
「そうさ、これでいいだろう?」
 会心の笑みを浮かべてデ=グリューに言ってきた。

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