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序章 願い
誰かの呟きと誰かの望み
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side:???
見渡す限り、まっしろな空間だった。
中心に浮かび廻り続けるいくつもの歯車と、文字が流れ続けるモニターのようなもの、そして「彼ら」と「彼ら」の座りつく玉座、円卓のみがこの異質な空間の中で色を持っていた。
「・・またですか。「原典」も大概懲りませんね」
困り果てているかのような声が、まっしろな空間の中で響いた。
「貴方はいつもそうでしょう。困っているかのように見えて、裏では面白がっている。全くつかめぬよ」
「あら、言いがかりですのよ?私にとっても我らにとっても、時として「原典」の行動は諸刃の剣なのですから」
クスクスと、憎めない笑いをする「誰か」が口に手を当てた。
「・・どう見ても笑っている仕草であろう」
幾人かが何時ものことだとでも言う様に溜息を付いた。
「どちらにしろ「終」はまだ眠っている。止めることは不可能だ」
「巫女様ね。全く・・・いつまで「眠っている」つもりなのかしら。こんな時に」
呆れた口調で呟いても、何も代わりはしない。
彼らの思うようになるなんて、「巫女」の前では不可能な話だ。
幻想的な光景の中。
「本当に、いつまで空なのか・・」
幾つかの目線の先にあるものは、「空っぽの黄金の玉座」
side:???
いつだって、間違いに気づくのは最後で、ならば最初からそれを教えてしまえば良いのだ。
「彼」に教えた事だって、決して「彼」の為になるとは限らないし、その前にそれが出来るかどうか疑問が残る。
ならば、最初からそうなるように「物語」を書き換えれば良いのだ。
「彼」がこうなるのは運命で、物語で、「わたし」の望んだ通りに。
存分に抗えばよいのだ、決して変えることなんて出来ないのだから・・・・・・
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