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セビーリアの理髪師
8部分:第一幕その八
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る。それと入れ替わりに背が高く白い鬘を被った藍色の下地に銀の糸で刺繍された貴族の服を着た男が来た。顔が結構細長くそれが彼の長身をさらに際立たせている。見れば目の感じがいささかひょうきんだ。
「博士、お早うございます」
「おお、来てくれたか先生」
 バルトロは帽子を胸に置き恭しく一礼する彼に顔を向けて笑顔になった。
「いい時に」
「このドン=バジリオはいつもいい時に来るのです」
 その彼ドン=バジリオはそう言って笑ってみせてきた。
「それが私です」
「全くだ。それでだ」
 バルトロは彼の言葉に笑顔になり言葉を続けた。
「実は事情が変わった」
「事情といいますと」
「ロジーナとすぐに結婚したいのだ」
 右手を自分の顎に当てて言う。
「すぐにですか」
「今日か明日にでも。どうだ?」
「またそれは急ですな」
 バジリオはそれを聞いて目を少し見開いてみせてきた。

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