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帝国陸軍-唯依Side-
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―篁唯Side In―

 本日横浜基地から一人の上官が顔を見せた。

 どこか不思議な雰囲気を持ったシルバ・アルザーク少佐。

 おじ様からXFJ計画に関する事で話があると言われ、私は嫌な予感を覚えつつも、おじ様の部屋へと赴いた。そしてそこで突然告げられた驚きの言葉。

「横浜基地がXFJ計画によって製作された不知火の強化型を交換条件に新概念OSを持ち出してきた」

 今までの数ヶ月、全くと言って良いほど結果を残す事の出来なかったXFJ計画。当然後数ヶ月程結果を残せず、このまま進んでいたら恐らくこの計画は瓦解していただろう。私はそうならない為にも、必死に不知火の強化を測ってきた。だが上手くいかない日々。実験の失敗。これらの繰り返しに私は自分の中に焦燥と不安を溜め込んでいった。

 しかし、おじ様から言われた言葉は私の中に溜まりつつあった不安を消し飛ばしてくれるものだった。

 わざわざ成功の兆しがないXFJ計画に何故、こんな話を持ち込んで来たのかは分からない。だけど、その交換条件は私にとって喉から手で出るほどに欲しいものであった。

 当然私はおじ様にその話を受けるよう説得した。おじ様もこの話は受ける予定だったのか、案外すんなりと認めてくれた。だが、話を認めてくれたと言う事はそれだけおじ様も私が指揮するXFJ計画に不安を感じていたと言う事だ。その事がまた私の胸を強く締め付ける。

 そして横浜基地からの人間が来る当日。私は柄にもなく緊張に包まれていた。

 今後ろの部屋ではおじ様と横浜基地から来たあの男性が交渉を行っている。否、最早交渉と呼べるものでなく、恐らくは横浜基地から来たあの男性による一方的な交渉だろう。当然だ。結果の残せていないXFJ計画を担当する私達がこんな話を断れる筈がないのだ。

 世界を巻き込み、不知火の強化を測ったXFJ計画。当然それには莫大なる資金もかかっている。だからこそ、失敗は許されない。だからこそ、今回の交渉は一方的に此方が要求を?み込むしかない。たとえ要求が無理なものであったとしても。

 だけど、向こう側の要求は完成した不知火強化型の譲渡。たったのそれだけだった。

 当然その事に疑問を抱く事にはなったが、私に横浜基地に人間が考えている事など分かる筈もなく、不安を胸に抱いたまま、ついにその時が訪れた。

「唯依ちゃん。準備は出来てるかい?」

 唐突に後ろから声を掛けられ、体が強張る。

 おじ様からは予め言われていた事だが、緊張しない訳がない。

 今から話す相手がXFJ計画の存亡を握っていると言っても過言ではない。あの男性の機嫌を損ねる事をしてはいけない。相手の目に留まる人間を演じなければならない。

 そう考えると緊張は更に高まり、心臓の鼓動が激し
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