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薔薇の騎士
第二幕その七
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 オクタヴィアンのその言葉を信じることにした。その間も二人はけたたましく騒ぎ遂には男爵が左の戸口から出て来た。そうしてシニカルな笑みを作ってオクタヴィアンに問うのであった。
「幾ら何でもこれはまずいと思いますが」
「貴方は私のことを判ってはいないからです」
 ゾフィーがオクタヴィアンの後ろから叫んだ。
「ですから」
「私は伯爵殿にお伺いしているのでな。伯爵殿」
 あえて鷹揚にオクタヴィアンに声をかける。
「どういったことでしょうか」
「今回の件で大きな変化が起こったのです」
 オクタヴィアンは男爵を見せてこう述べるのだった。
「大きな変化ですと」
「そうです」
 その声も目も毅然としたものである。
「この方は」
「どうされたのでしょうか」
「この方は」
「どうされたのでしょうか」
 一旦言葉が繰り返された。
「申し上げましょう。貴方が御気に召されないのです」
「御心配なく」
 それを聞いても男爵は全く気にすることがない。平気な顔であった。
「そのうち変わりますので。だからフロイライン」
 優しい声になってゾフィーに声をかけた。
「中へ。婚姻の署名を」
「嫌です」
 だが今度はゾフィーが断ってきた。自分から。

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