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星河の覇皇
第一部第三章 海賊征伐その二
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 彼はそれを聞いて再び笑った。
「我が軍は一万隻、兵士数にして約百万。敵は二万隻、約二百万です。正面からぶつかるには不利かと」
「そうだな。正面から挑んではならん相手だ」
 アジュラーンはまるで他人事のように言った。
「だがそれは普通にやった場合だ」
 彼は不敵に笑って言った。
 こうしてカッサラ星系を巡るオムダーマンとミドハドの戦いが開始された。オムダーマンはアジュラーンの考え通り磁気嵐とアステロイド帯の間に布陣しミドハド軍を待ち構えた。
「アッディーン准将の方の準備は整っているか」
 アジュラーンは旗艦の艦橋において参謀に対し問うた。
「ハッ、既に布陣を終えているとの報告がありました」
 参謀の一人が敬礼して言った。
「そうか。ならば良い」
 アジュラーンはそれを聞いて微笑んだ。
「この戦いは彼にかかっているからな」
 やがて前方にミドハド軍が姿を現わした。
「来ました。数は約二万です」
「予想通りだな」
 アジュラーンはオペレーターの言葉を聞いて言った。
「正面から突っ込んで来ますね」
 参謀はモニターに映る敵陣のコンピューターグラフィックを見ながら言った。
「うむ。しかも巡洋艦や駆逐艦に護衛された空母が主力だ。これも予想通りだな」
 ミドハド軍の得意戦法である航宙機を使った戦術で来るようだ。
「良いか、こちらは守りを固める。対航宙機防衛に重点を置け。まずは徹底して防御する」
「ハッ」
 参謀達はそれを聞いて敬礼した。
「充分に引き付けろ。そうすればおのずと勝機が見える。我等が動くのはそれからだ」
 敵軍が戦艦の射程内に入った。こうして戦いが開始された。
 まずは両軍の一斉射撃で始まった。個々の艦の火力に勝るオムダーマン軍は二倍以上の兵力を向こうに回しながらも敵軍に少なからずダメージを与えた。
「だがそれは計算通りだ」
 ミドハド軍第一艦隊司令官であるスールフ大将は不敵に笑ってそう言った。
「数ではこちらの方が上だ。気にせずどんどん進め」
 彼は部下達に対して言った。艦隊はその言葉を受けて前へと突き進む。
 やはり数がものをいった。オムダーマン軍の攻撃をものともせずミドハド軍は接近して来る。
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