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星河の覇皇
第一部第三章 海賊征伐その一
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ないからだ。
「しかしだからといって退くわけにもいくまい。各艦からの報告はあるか」
「ハッ、今来ました」
 通信士が答えた。
「来たか。何処からだ」
「巡洋艦ムスタファからです」
 この艦は艦隊の先頭を進んでいる艦である。
「よし、何と言っている」
「前方のアステロイド帯のところに識別不明の艦隊反応があり、その数三十だそうです」
「来たな」
 アッディーンはその報告を受けて言った。
「あそこだな」
 彼はモニターに映るアステロイド帯を見て言った。
「他の場所には反応はないか」
「はい、一切ありません」
「よし、やるぞ」
 彼は不敵に笑って言った。
「各艦に伝えよ。駆逐艦部隊はアステロイドを大回りし奴等の後ろに回り込め。巡洋艦部隊は俺と共に奴等の正面に移動する」
「わかりました」
「いいか、見つかるなよ。一瞬で勝負を着けるからな」
「ハッ!」
 彼の言葉に従い艦隊は二手に分かれた。駆逐艦部隊は敵が隠れていると思われるアステロイド帯を大きく回り敵の後方に向かった。アッディーンは巡洋艦達と共に敵の前に向かった。
「お頭、オムダーマンの奴等が来ましたぜ」
 見ればかなり旧式の艦である。軍からの横流し、若しくは普通の船に無理矢理武器を備え付けただけのものである。しかし彼等は何ら臆するところはなかった。
「ヘッ、遂にきやがったか」
 お頭と呼ばれたその下品な顔立ちの男は下卑た笑いを浮かべて言った。
「正規軍だか何だか知らねえがここは俺達の縄張りなんだ。調子こいてるとどうなるかその身体で教えてやるぜ」
 彼はそう言うと周りの者達を配置に着けさせた。
「いいか、最初が肝心だ」
 彼は部下達に言った。
「まずは徹底的に痛めつけてやれ。そうすれば連中も俺達に手を出さなくなる」
「へい」
 手下達はそれに答えた。
「来たぜ、一気にやるぞ」
 アッディーンの艦隊が接近してきた。彼等は攻撃準備を整えた。
「お頭、来やしたぜ!」
 レーダー手がそれを見て叫んだ。見ればかなり旧式のレーダーである。
「よし、行くぜ!」
 海賊達はアステロイドの影から一斉に襲い掛かろうとした。だがそれより先にアッディーンの艦隊は攻撃を仕掛けて来た。
 既に主砲をこちらに向けていたのだ。その斉射が彼等を襲う。

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