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愛の妙薬
第一幕その七
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第一幕その七

「今アディーナも同じなんだ、そう思うだけで何と幸福なんだろう」
 喜びに打ち震えていた。
「食欲も湧いてきた。何か凄い絶好調だ」
 側にある店でパンと果物を買った。元々おやつを買うつもりであった。
「ではいただきます」
 そしてそのパンと果物を食べはじめた。
「本当にいい気持ちだ。何て幸せなんだろう」
 彼は至って上機嫌で食事を採っている。ふとそこに通り掛かる少女がいた。
「一体誰なのかしら。やけに上機嫌だけれど」
 それはアディーナであった。
「あらネモリーノじゃない」
 彼女はネモリーノを認めて咄嗟に物陰隠れた。様子を見る為だ。
「どうしたのかしら。さっきまであんなに思い詰めて私に言い寄っていたのに」
 彼女はそれが不思議でならなかった。物陰から身を乗り出してネモリーノを見ている。
「おや」
 それは当のネモリーノにもわかった。
「来たな」
 彼はそれを認めてにこやかに笑った。
「今度は笑ったわね。何があったのかしら」
 アディーナはその笑顔を見て余計に不思議に思った。
「暫く様子を見た方がいいわね」
「今に見ていろ」
 ネモリーノにもその様子はわかっていた。アディーナを横目で見ながら笑っていた。
「すぐに僕をいとおしく思ってたまらなくなるからな」
 薬の効き目を露程も疑ってはいなかった。すぐに効果が出ると信じている。
「おかしくなったのかしら」
 アディーナは薬のことなぞ知るよしもない。自然とそういう考えに至った。
「元々頭の回転の鈍い人だったけれど」
 しかしネモリーノには真相はわかっていた。わかっていると信じているだけであった。
「もっと飲むか」
 そして薬をまた飲んだ。
「これでどうだ」
 そしてアディーナをまた横目で見た。
「気付いているわね」
 アディーナもネモリーノが自分を横目で見ていることはわかっていた。
「何を考えているのか知らないけれど」
 普段は言い寄られて辟易していた。だがいざこうしてあえて無視されると腹立たしさを覚えるものだ。人間の心理とは実に複雑なものである。
「私を無視するなんていい度胸しているじゃない。見ていらっしゃい」
 彼女はネモリーノを見据えて言った。
「絶対後悔させてやるわ」
「フン、今に見ていろ」
 ネモリーノも似たような考えであった。
「もうすぐ僕をいとおしく思ってたまらなくなるからな。その時にどれだけ後悔しても知らないぞ」
 彼には絶対の自信があった。
「もうすぐだからな、僕に心を奪われるのは」
 アディーナは自分に気付いているのはわかっている。そしてやきもきしていると思うと嬉しくてたまらなかった。
「もうすぐだからな」
 そして目を離した。そしてパンと果物を食べ終えた。
「ふう、美味しかっ
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