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くらいくらい電子の森に・・・
第七章 (1)
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が、たしかにある。
それは、私と他の存在の表面部分が接触すること。
接触することで、感覚器官が相手の温度、柔らかさ、時には感情まで把握する。そんな、とても細やかな情報収集の方法。表面を持たない情報体の私たちには、想像しかできない。
手をつないだときの、指先の冷たさ、ふわっとした感覚。手の甲が包み込まれる、安心感。それに、頭を撫でられたときの、優しく髪を押さえられる感じと、ゆっくり手を動かされるときの、体温の移動……
私はすごくリアルに『想像』する。

―――これは、本当に『想像』?

もっと思い描いてみる。ひざまくらをしてもらったとき、頬にあたるやわらかさ、頭の位置が合わなくて、ちょっといらいらする感じ。抱き上げてもらったとき、ちょっと脇がくすぐったい感じ。

考え始めると、それは堰を切ったように溢れ出した。放置されていた回路が突然電気を帯びて、溜まりに溜まっていた情報を一気に吐き出すように…。周りは、私の中からあふれてきた『接触』の情報でいっぱいになった。
この情報の洪水のなか、私はとまどいながら、ひとつだけ確信してた。

―――私はずっと昔、誰かに『触れた』ことがある。


《ああああぁぁああああぁあぁぁあぁああああぁぁぁぁぁ!!!》


世界中に轟きわたるような悲鳴に、はっと我に返る。皆が警戒しながら遠ざかっていくなか、1人、逆行して悲鳴の元を探った。丁度、私の死角になっていた位置に、赤い瘴気がたち込めている。

Google空間の片隅を侵す瘴気の中心に『あれ』はいた。

《あああぁぁああああぁぁぁあああぁぁぁあああぁぁぁぁ!!》

手足をもたない姿、瘴気にボロボロに侵され、狂った目つき。怖くて、肩がビリビリ震えた。あれは……探していた「あの子」が、更に狂って変わり果てた姿だ!瘴気は燃え上がるような形で「あの子」を責めたて、さらに狂わせていく。
「ひどい……なんで、こんな……」
「あの子」は何度も叫んだ。聞いているこっちが狂ってしまいそうな声で。時折、私のほうにも散ってくる瘴気で分かる。……正気じゃ耐えられないくらい、悲しんでる。そして憎んでる。
私がファイヤーウォールで拒んでしまったとき、彼女が必死に伝えてきた一言が、記憶をよぎった。
『ご主人さまを、助けて!!』

――ご主人さまは、助からなかった……?

私が逃げなければ、助けられたかもしれないのに。私は………!

《あああぁぁあぁぁあああぁあぁああああぁぁぁぁぁぁあ!!!》

最後の絶叫と一緒に、あの子がまとう瘴気が弾けて膨らんだ。空間の三分の一は、血の色に飲み込まれた。……こんな有名なポータルサイトが感染を受けるなんて!!…ぼうっとしていると、私の横を『何か』が駆け抜けた。
「……あ、セキュリティ」
戦闘機をなめらか
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